第121話あんた、大事な私のパートナーが迷惑かけて悪かったな(いえそれはお互い様ですから)

「誰かと思えば本当に誰だったかしらね、。アンタが一体、一切何も思い出せないわ。それだけじゃなくさっぱり見当もつかないなんて、アンタよっぽど。それなら納得だわ。アンタが、ワタシは何一つとして知りたくもないもの。そう考えれば自明の理だったわね。アンタに関する記録なんて、。どこをとっても無駄の極みでしかない情報は必要ないもの。そんなものがワタシの記憶領域に一片たりとも存在しているはずなかったわね。ワタシ、これでも無駄なことは嫌いなの。だから、ワタシはアンタのことが嫌いだわ。だって生産性がないんだもの。生産性がないということは必要性がないということでしょう。そして必要のないものは無駄なものなの。アンタ、? ほら、一周回って繋がった。これでご理解頂けたかしら? ワタシがアンタを嫌いなことは、至極当然だということが。それには歴とした理由があることを。そもそもワタシが挨拶したも末永くよろしくお願いしたのも最初からそちらのお嬢さんであって、アンタじゃないのよ。アンタのことなんて認識もしていなかったし、眼中にも無かったからそこにいることさえ分からなかったんだから。それがどうしていきなり喋り出すのかしら。ワタシには全く理解できないわ。アンタの声なんてワタシは一音たりとも聞きたくなんか無いっていうのに。それなのに後ろからしゃしゃり出てきて何を言い出すのかと思えば、聴くに値しない益体もないことをダラダラ言葉にする始末。そんなことは何一つとして誰もワタシも訊いてなんていやしないというのに。だというのに聞いても何も得るものの無い、意味も無いことを無駄に長々と垂れ流して。まさに羽虫にでもたかられた気分そのものだわ。でもそちらの方がまだ良かったかしらね。五月蝿いのはどちらも同じでも、羽虫は喋ったりしないもの。。寧ろ己の分際をわきまえているだけ上等なのかもしれないわね。。けれどそれもさもありなんと言ったところかしら。何せ大事なパートナーの言葉を遮ってまで。そんな恥知らずな真似が出来るだなんて、とてもワタシには信じられないわ。少なくともワタシには無理ね。そうそう、最後にちゃんと言葉にして言っておくわね。理由なんて特に無くっても、ワタシはアンタのことが。これだけは絶対に勘違いしないでね。どうでもいい誰かさん。もとい、そのクビを飛ばされたはずの壊れ物が」

売り言葉に買い言葉。

最初に売りつけたミドリもたいがいだと思ったけど、まさかこんな大枚はたいて買ってくれるなんて思わなかった。

相手の顔面狙って投げたら札束で打ち返されたみたい。

それをみていてこころに浮かんだのはみっつ。

もしかして、っていう疑問。

なのにこのふたり、見た目だけじゃなく中身もどこか似てるんだなーという確認。

そしてその姿にはどことなく、自分のパートナーを思い出させるように重なる部分がみえること。

ミドリとわたしもそんなふうにみえたりするんだろうか。

だとしたら悪い気はしないけど、だけどやっぱりちょっとやだ。

それにこれじゃ、おつりもばかにならないよ。

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