第120話あんた、そろそろ私も寂しくなってきちゃったよ(できればそのまま忘れてくれたらいいんですけど)

 そんなこころの葛藤ともいえないあれやこれやがあったすえに、わたしのこころは整理がついた。

 いまのミドリはわたしにとって、ともて心強くて頼れる存在だと

 クルクル回ってコロコロ色がよくかわる、玉虫色の風見鶏みたいなわたしの気持ち。

 サラサラ崩れてチラチラ瞬く、映るものがすぐ移ろう万華鏡みたいなわたしのこころ。

 いまのミドリをどう受け取るか、みかたはあっちに跳ねて思いもかこっちに飛んで一周回って百八十度かわったところで落ち着いた。

 最初からミドリを信じると決めていれば、

 そうすれば、こんな無駄な遠回りをしなくよかったのに。

 まあ、そこはおいおい、まだまだこれからということで。

 とにかく、ミドリがわたしと一緒にいてくれることをホントにこころから喜べる。

 わたしのために怒ってくれるひとがいることが、素直に嬉しいと思える。

 やっぱり、わたしには

 ミドリこそ、

 だけど、わたしがミドリに相応しいのか。

 ミドリがこんなわたしを必要としてくれるのか。

 それは、正直まだわからない。

 正直に言うと、いまはまだたしかめたくない。

 いまはまだ、ちょっとだけ訊くのがこわい。

 それでも必ず、確信をもって訊いてみせる。

 そして自信たっぷりに言わせてみせる。

 わたしがミドリに対して想っているのとおんなじことを、

 それこそ、まだまだここから。

 いつになるかわからないけど、それでもふたりで進んでいけば

 それにわたしも、いままでよりも少しはマシになったと思うから。

 たぶん、おそらく、なんとなく、そうなってるといいなと思いがら。

 なんとかこころを定めて、整理をつけて、覚悟を決める。

 辿りつくまでに、まえより時間はかかっていないはずだから。

 たぶんわたしが魔法少女に変身するのと、おんなじぐらいだったはず。

 きっとひとが、時間なんて必要ない。

 そう感じるのは、ただの錯覚。

 それはここまで高く、積み重ねてきたものがあったから。

 それはそこまで深く、沈んで溺れてしまったから。

 そして、ひとはひとをかえるから。

 ひとなんて、

 それは自分では気づけないほどほんの一瞬。

 気づいたら、もうそのときには全然違う自分になっている。

 善いものにもなれるし、悪いものにもなることができる。

 けものに堕ちて、怪物にまで至ることができる

 それでもなにモノにもなれなかったもの。

 その成れの果てが、アイツらみたいなバケモノに為り果てる。

 きっと、みんな誰でもそうなれる。

 わたしが魔法少女になったのと、おんなじぐらい簡単に。

 どんなひとでも簡単に、になれるんだ。

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