第84話わたし、魔法少女になりました そのよんじゅういち(わたしの意志で後悔は最後にすると決めました)

 そうと決めたら言ってしまおう。

 わたしの好きなように言ってしまえ。

 そうするのが

 あの続きを始めてしまおう。

 わたしの勝手で始めてしまえ。

 そんなことをするのが

 思ってみればこんなこと、我慢するようなことじゃない。

 だったらをする必要なんて、全然どこにもありはしない。

 だってみんな、

 善いひとも、悪いひとも、そうでもないひとも、そうじゃないひとだって。

 

 、どんなひとだってすることじゃないか。

 誰でも、誰にでもやってることじゃないか。

 そんなの誰にだってできることだ。

 誰でも、何にでもできることじゃないか。

 こんな何にだってやってることだ。

 それを、なんでわたしが我慢しなくちゃいけないんだ。

 なんでわたしはやっちゃいけないんだ。

 どうしてやらないことを、できなくちゃいけないんだ。

 なんだってできるからって、やらなくちゃいけないんだ。

 みんながやってることなんだから、わたしがやったっていいはずだ。

 わたしがみんなに、やったっていいはずだ。

 むしろ、

 だってわたしはこんな酷い目にあったんだから。

 できるからって、我慢するほうが不自然だろう。

 それくらいしたって、誰も文句はないでしょう。

 それくらいなら彼女も、あんたも、何も言ったりしないよね。

 だってわたしはあんな痛い目にあわされたんだから。

 八つ当たりくらい、普通ならやるだろう。

 これくらいですむのなら、誰にとっても安いものでしょう。

 これくらいですんじゃう安いわたしに感謝してほしいくらいだね。

 そんな目をみちゃったんだから、しょうがないよね。

 だからわたしはこんなふうにするほうが、

 そんな自分がことなんて、最初から知っている。

 こんな目にあったから。 

 願いが叶ったことを、こころのそこから悦んだのに。

 あんな目にあったから。

 望みが果たされたことを、こころのゆくまで愉しだのに。

 そんな余計な荷物は全部、こころの棚に放り投げてしまっている自分のことが。

 そんな汚いことを、なにも感じないでしている自分のことが。

 そんな自分が汚れていることなんて、もうとっくにわかってる。

 わたしが一番、わかってる。

 だったらいまさら、気にする必要なんてなんにもない。

 たとえその棚を支えるこころの柱が、ギシギシ音をたてたとしても。

 それにあんたとわたしはパートナー。

 ミドリはわたしのパートナー。

 それじゃあ、隠し事はよくないはずだよね。 

 ありのままの自分をみてもらうのが、

 汚れたわたしをみてもらうのは、

 わたしはミドリを信じてる。

 ミドリもわたしを信じてる。

 それならミドリはわたしのことを、

 そうやって汚れたなかみを全部吐き出せば。

 そうして汚れたわたしを全部みてもらえれば。

 わたしはもっと、楽になれる。

 わたしはもっと、愉しくなれる。

 そうしたらわたしはもっと、

 そんなことしたらわたしはきっと、後悔するとわかっていながら。

 後悔を最初にすることができないと思っていても、最後まで取り返しがつかないなんて思いもせずに。

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