第14話わたし、魔法少女の仕事中なのはわかってます(ちょっと休憩するだけです)

 楽しいなんて、思ってない。

 そんなこと、思ってない。

 緑の目に言われるでもなく、わたしは、楽しんでなんていなかった。

 初めから、楽しむつまりなんてあるわけなかった。

 こんなことしても、嬉しくないわけない。

 そんなことしても、面白いわけない。

 だから。それには。

 ちゃんと、目的があったから。

 は、必要だからやっただけ。

 、 必要だと思ったからやっただけ。

 、必要があると考えたからそうしただけ。

 ただ、それだけ。

 それだけの、はず。

 それだけしかない、はず。

 それ以外に、思うことなんてあるはずない。

 思っちゃいけない。

 それ以外に、考えるべきことなんて他にない。

 考えちゃいけない。

 いいはずないし、いいわけがない。

 だけど。それなのに。

 そう思えば思うほど。

 そう考えれば考えるほど。

 そう思って、そう考えて、やればやるほど。

 苦しい。

 辛い。

 脳が、割れそうに痛みだす。

 こころの飢えがひどくなる。

 けどそれは、当然のこと。

 だから最初に、謝っとくね。

 ごめんなさい、わたし。

 いままでのは、全部、嘘だとわかってるから。

 これまでのは、全部、偽りだとわかってるから。

 なんだかさっきから、あやまってばっかりだけど。

 全部ホントは、わかってる。

 なのに、どうしようもなく、浮かんできてしまう。

 なのに、どうしても、沸き上がってきてしまう、

 でもホントのことは、わかってる。

 その原因が何故なのか。

 その理由がどうしてなのか。

 その動機がなんなのか。

 ホントは全部、わかってた。

 だって、それは。

 できることをして、やるべきこをやったけど。

 わたしを、否定することだから。

 自分で自分を、否定することだから。

 きっと間違ってるのは、わたし。

 いけないのも、わたし。

 それでもそれは、わたし自身。

 それなのに。わたしは。

 いつの間にか、わたしに植え付けられていた、わたしを縛る鎖のままに。

 知らない間に、わたしに刷り込まれていた、わたしを囚える檻のなかに。

 その、という、鎖に縛られるままに檻のなかに囚われて。

 その教えに、ただ従おうとしたからだ。

 目を閉じて、こころを閉ざして。

 わたし自身に、嘘をつこうとしてたから。

 わたし自身を、偽ろうとしてたから。

 自分の考えを受け入れないで、目をそらすことだから。

 自分の思いを蔑ろにして、逃げ出すことだから。

 それは、あいつらと変わらないことだから。

 鏡を見るようなものだから。

 鏡合わせの自己嫌悪。

 鏡に映った自己矛盾。

 それと、向き合いたくなかった。

 自分の姿を鏡で見るのは、いつだって嫌かった。

 そこに映るのか、いつも見るのが怖かった。

 そこから目をそらさないと、前を向くと、決意したはずなのに。

 そこから逃げないと、前に進むと覚悟したはずなの。

 ふとしたときに、、そのスキマをから入り込む。

 染み込むように、滲み出るように。

 わたしを縛るために、わたしを囚えるために。

 、という甘い毒が、わたしを冒しておかしくさせる。

 それが、わたしの本質を否定する。

 そして、それこそがこの苦しく辛い、こころの飢えの原因。その理由と動機。

 正しく良きものでありななさいという言葉と、そうありたいという想いが、は違うと教えるからだ。

 わたしは、知るからだ。

 結局、あの緑の目の言うとおり、わたしが自分の本質を曲げていることが原因。

 そこに嘘の理由と、偽りの動機をつけようといしたから。

 そんなものじゃないものに、そんなふうになれるわけないのに、そうあろうとしてしまったから。

 その、絶対にかみ合うことのない、決して嵌まることのない、が違和感の正体。

 自分に正直になれなかったことが、全ての始まり。

 なんで、そうなれなかったのか。

 まだ、受け入れる器が狭いのか。

 まだ、決意が定まっていのか。

 まだ、覚悟の量が足りないのか。

 だから、揺らいでしまうのだろうか。

 これからも、こういう思いをするのだろうか。

 だとした、確かにちょっとしんどいけど。

 それでもわたしはそのたびに、わたしは自分を乗り越える。

 一歩後ろの自分より、わたしは成長してみせる。

 たとえどれだけ曲がっても、決してわたしは折たりしない。

 わたしだけは絶対に、何があっても自分を信じる。

 自信をもって、自分を信じる。

 それにもし、ホントに何にも揺るがないようになったとしたら。

「どうしたの?我慢は体にも心にもだよ」

 、なるんだろうか。

「なんだか今のキミは、自分で自分の首を締めているというより、首を吊ってるのになんで苦しく辛いのか、解っていないみたいだよ」

 こんなふうに、なるんだろうか。

 そんな、何も映さない虚ろでカッラポの目で、世界を見るようになるんだろうか。

 あと、ひとつだけ、言いたんだけど。

 もうそれは、わかってるから。

 いまだけでも、わかってるから。

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