4日目 ため息
「はー……」
目が覚めたら、顔のすぐ前にい
「ふー……」
――た。えっ、待って。なんか今意
「あーあ……」
識が途切れた気がしたんだけど。気のせ
「もー……」
いじゃないな。俺の認識が正しければ、も
「えー……」
う5人くらいの顔の前に現れては消えている。
「……」
消えるときの感覚は、今まで味わったこと
「はあ……」
がないタイプのそれ。「空気に溶けていく感
「もう……」
じ」と言えば伝わるだろうか。自分の存在が
「ふー……」
少しずつ広がって、広がった分希薄になっ
「はー……」
て、思考がまとまらなくなって、そしてど
「あー……」
こかのポイントでふっと消える。何度体験し
「もー……」
ても慣れない。消えた後ですぐに復活す
「……」
るのもなんかすごい違和感がある。という
「あー……」
か、俺、これ、何になってるんだ? 寿命
「えー……」
が短いの? たぶん、生まれては消えてを
「はあ……」
繰り返してるんだと思うけれど。にして
「えー……」
も、色んな人の顔がある。ちょっと観察に注
「ふー……」
力しよう。男性、女性、若者、お年寄り、
「はあ……」
今はエルフ。これはもう完全ランダムで
「……」
現れていると考えてよさそう。だいたいみん
「もー……」
な美形なんだけれど、それぞれなんとな
「はあ……」
く物憂げな表情で、こめかみに手を当ててた
「ああ……」
りもする。最初は口に近いところで意識が発
「えー……」
生して、だんだん遠ざかり、顔全体が見え
「はー……」
るようになったところで消える。この人
「……」
――さっきの人は唇噛んだりしてた。だいた
「あー……」
い分かってきたけれど、これ、検証するために
「ふー……」
はどうすればいいんだろう。無理じゃね?
「はあ……」
そんなに
「……」
息つきたくなってくるけれど、そんな時間の余
「ああ……」
裕はない。なぜならば――きっと、俺自身が
「はあ……」
ため息だからだ。はあ……もう……
「あーあ……」
こっちがあーあだよ。今日も、神様をぶん殴るのは
「はー……」
難しそうだ。
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