第23話 これは少し骨が折れそうですわね…

やっと自由への一歩を歩み出した私、ルーティー・スパニッシュ事、ルーティー・フォン・ファンタンは王宮へと馬車で向かう事になりました。

忌まわしい記憶が多いあの屋敷が少しずつ遠くなっていく様を見ると凄く嬉しくなった。

何より一番嬉しかったのは私が王家の養子になった事を知った時のマイスタン公爵の顔が堪らなく面白かったと思いますわ。

今まで下に見ていた小娘が突然王族になるのですもの。

驚いて空いた口が塞がりませんわね。

私が養子になると分かった途端、ルードヴィッヒ様も七光り公爵も婚約破棄を破棄させて欲しいとか抜かして来ましたわ。

婚約破棄は構わないが商会を寄越せと言っていた口で何を抜かすのでしょうか?

本当に面白かったですわ。

でも、あの話し振りだと諦めてなさそうですのでまた何か仕掛けて来る可能性がありますので用心しなければなりませんわね。

元婚約者が王家に養子になって上手く、元サヤに収まる事が出来たら大チャンスですものね。

まぁ、そんな事は絶対にありませんけどね。


はぁ…まだまだやる事は沢山ありそうですわ…


そんなため息を吐くと第二王子が話しかけて来た。

「どうしたルーティー?まだ何か不安な事でもあるのか?」

私の心を見透かした様に第二王子は優しく声かけてくれて少しドキッとしたのは内緒ですわ。

「大丈夫ですわ。恐らくマイスタン公爵はまたゴルダナ夫人と策略して来そうだなぁと思いまして少し憂鬱になっただけですわ。」

「まあ、養子になる事が決まってからマイスタン公爵の変わり身は早かったからな。でもゴルダナ夫人は大丈夫じゃないか?あの人馬鹿っぽいし」


馬鹿っぽい言われていますわよゴルダナ夫人ww

確かに今日の様子を見れば明らかでは御座いますがめちゃくちゃウケるww

今頃くしゃみでもしている事でしょうね。


「今は騙されていますが、あの人の目的は私を踏み台にして王子様の誰かと娘を婚姻させる事だと思いますわ。でも、残念ながら愚妹は見た目だけで中身はあの様にお馬鹿さんですので騙されてくださる様な優しい王子はいらっしゃらないと思いますので上手く行かなかった八つ当たりで組む可能性がありますわ」


私がそう答えると第二王子はあぁー…と嫌な顔をしながら「それならありえそうだな…」と大きなため息を付いた。


「流石に兄上も弟達もあの様な愚か者を嫁にしたいと思う者は居ないと思うぞ。寧ろ居たらそらこそ廃嫡させる」


あらあら、それは大変です事。

でも、あのレベルの娘を嫁にしたいと言い出す王族は確かにろくでもない人間性ですので廃嫡するのは正しい判断かと思われます。


そんな方が王家のままでしたらきっとファンタン聖王国は大きな損害を生むでしょう。

予め危険因子は排除するに越した事ありませんわ。


第二王子とのんびりお話ししているとメイドのユーリが突然私の服の裾を掴み、厳しい顔をしながら耳元まで近付き「魔獣の気配を感じます」と小さく伝えて来た。


現在地点は領地にから王都に向かうちょうど中間地点の様な場所でだだっ広い平原の中に歩行用の道路があるばしょです。


こんな所に魔獣が出る事はなかなか無いのですがユーリが言うのですから魔獣が近付いているのは事実なのでしょう。


私はすぐ様第二王子に伝え、いつでも臨戦態勢を取れる様に全員に指示を出した。

おかしい…普段のこの平原ならそんな魔獣なんて出てこないのに…

この場に何か異変が出たのか?

理由が分からず、静かに探知の魔法を使い魔獣の正確な位置を確認する…


「うそでしょっ!!!!」

「何があったルーティー!!どうしたんだ?」


思わず驚いて大きな声を出してしまいましたわ。

だって、私達の馬車は魔獣に囲まれているのですもの。

それも弱いゴブリンとかでは無く、タイガーファングと言うBランクの魔獣がわらわらと…


これは少し骨が折れそうですわね…

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る