第22話 どんまいとしか言えませんね。言いませんけど。

さて、ミルクとの戯れも終わり、客間へと向かう事にしましたわ。

少し残念ですが何時迄もこの屋敷に居るのは嫌ですので仕方ありませんわね。

王宮に着いたからいっぱいモフモフさせて頂きましょうか。


部屋に戻ると満面の笑みのゴルダナ夫人と真っ青な顔のお父様と相変わらずお馬鹿さんみたいにうっとりした顔の愚妹が居た。

三者三様で皆様面白いお顔をされていらっしゃるわね。


マジマジとお顔を見比べているとゴルダナ夫人が話しかけて来た。

「王家にいって幸せになってね」

だそうです。

どの口から言ってるのでしょうか?


この方々が来てから私の口調が大分悪くなってしまった気がしますわ…

はしたないと思いつつ毒を吐いてしまうけど、、この方々がクズですから仕方ありませんよね?

もう気にする必要もありませんものね?


とりあえず、この感じを見るとゴルダナ夫人も愚妹も今の所は騙されてくれているので良しとしましょうか。

多分、ゴルダナ夫人は私が王家に養子になった事を口実に愚妹を王子の婚約者にと推すつもりだと思うけどそうは問屋が下ろさないですわ。

他人なので徹底的に排除します。

今は浮かれていると宜しいかと思われますがこんな男爵令嬢レベルの所作しか出来ない愚妹が王家と婚姻を結べるなんて王家を馬鹿にしていますわ。

その内不敬罪で逮捕されかねないのではないでしょうか?

そうなっても私は助けるつもりは毛頭ありませんわ。

自業自得ですわね。


王子達にその気があれば話は別ですが第二王子は明らかにいつもの営業スマイルで接している事もあり、きっとその気もないでしょう。


どんまいとしか言えませんね。言いませんけど。


お父様が縋るように近付いて来て、泣きそうになりながら『ルーティー…行かないでくれ…お前が居なくなってしまえばスパニッシュ公爵家は終わりだ…没落する…』終いには泣き出してしまいましたわ。

実の父親なので流石に可哀想と思う反面この人があのお馬鹿さんを連れて来て、散財を許して来たから没落ギリギリになってしまったのであり、同情の余地もありません。

なので助けるつもりは一切ありません。

自業自得ですわね。

それに別に領地は一度お取り潰しになってから立て直しても問題無いと思いますので、此処は一度綺麗さっぱりしてから新たに運営した方がより良い領地になると思いますわ。

安心してください。

お父様が没落後は私が陛下からこの領地を貰い、私の知識で領地運営をして誰もが笑える素晴らしい領地にして見せますから。

お父様はそれをのんびり見てくださいませ。


「もう挨拶は終わったな?では、そろそろ行こうかルーティー。お父上とお母上が君の帰りを待っているよ?」


第二王子に声を掛けてもらい私は第二王子の後ろにつき、そのまま屋敷を出た。


やっとこの家から抜け出せた…


でも、まだ問題は山の様に残っているけれどでもこれは私に取って大切な第一歩なのですわ。


この日この時に感じた思いを胸に私は旅立ちます。


ミナーヴァ様も私の今後の行き先を見ていてください。


私の本当の苦悩は王家に養子になってから始まるとは知らず、この時の私は清々しい気持ちで王家の馬車に乗り込みました。



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