第10話 勿論、演出もバッチリです

そして、本日にの婚約破棄に至ります。


端折り過ぎじゃ無いかと突っ込まれる方がいらっしゃるかも知れませんが、私は兎に角頑張りましたよ。


愚妹と馬鹿ボンボンを両思いにさせるのは案外簡単でした。

元々愚妹は見た目だけで馬鹿ボンボンの事を好きになっていたのを利用して、二人が真実の愛に目覚める様に誘導しました。

愚妹も見た目だけはそこそこ良いので馬鹿ボンボンもあの愚妹に言い寄られたら満更でも無いでしょう。


勿論、演出もバッチリです!

前世の趣味である乙女ゲームを廃人寸前になるまでやり尽くしたラブマスター(死語)である私が乙女ゲームさながらの素敵な演出をして二人の気持ちも真実の愛に気付かせてあげました。



屋敷に来る日は必ず合わせたし、街中で偶然出会う様に仕掛けたり、愚妹を唆し、馬鹿ボンボンの好きなお菓子を教えて手作りお菓子(作:使用人さん)を贈らせてみたり、馬鹿ボンボンが私宛に贈られた花束を『クルシュ宛で届いているわよ』と渡してみたり、二人が丘でピクニックデートしている最中に大きな熊(ウィルソンの従魔)を消しかけて追い払う様な仕草をさせてみたりといろいろ私は頑張りました。

仮面舞踏会では偶然を装って、二人をダンスさせたのはなかなか骨が折れましたわ。

従業員総出で当たり障りなく二人にぶつかったり、周りでこけたりしてダンスの過程で少しずつ二人を近づかせて、運命に導かれるまま二人は出会ったと勘違いさせるように誘導させました。

中庭でのキスシーンはあまりにも私の画策通りにいってしまい笑うしかありませんでしたわね。

最後の一押しでやっと婚約破棄を決意したらしいです。


今回の婚約破棄は私たちルーチェ商会の絶え間ない努力の結果…やっとな事で馬鹿ボンボンは私の画策にハマり、二人は真実の愛に目覚め、私は無事婚約破棄を突きつけられました。

もう少し早く婚約破棄を求めてくれると思っていたが思ったよりも家の事を真面目に考えていたのか、何も考えていないのかは分かりませんが婚約破棄して貰えるのに10年掛かりました…やっと私の努力が身を結びます。


本当はラノベっぽく社交会とかで断罪イベントからの婚約破棄とかをするべきなのでしょうが私がそんな面倒事をするはずがありません。

傷物令嬢になるのは構いませんが、周りの大勢に馬鹿にされたり、冷たい目をされるのは苦痛です。

それに愚妹を淑女にする為の調教はしましたが虐めてはいません。

私が淑女教育を施せたからこそ馬鹿ボンボンは愚妹に好意を抱けたのですから寧ろ感謝をして頂きたいものです。


これで晴れて私は自由の身になりますわ。

でも、まだ問題はこれからです。

馬鹿ボンボンよりももっと厄介な人物とこれから私は対峙しなければなりません。

そう、馬鹿ボンボンの父親、マイスタン公爵様。

彼は本当に厄介な人物です。

先程、店でも問題を起こした様に常に私に対して嫌がらせをしてきます。

元々は親同士は仲が良く、この婚姻も家同士の繋がりを強くする為に行った物ですがある日を境に私への態度が変わってしまいました。


そう、私がルーチェ紹介で現人気商品【マヨネーズ】が大ヒットを果たし

他にも【うどん】【プリン】【チョコレート】【シャンプー】【化粧水】など多くの人気商品を開発に一役をかっているとバレてしまったから。

中でも美容関係の商品は飛ぶ様に売れて、今じゃ聖王国王妃殿下までご利用頂いている上【王妃殿下御用達】の看板を出してもいい許可まで頂いた商会にまで大きくなりました。

そんな利益のある店を持ってるのなら新たに家族になるのならそのよしみで利益を貰えないだろうか、あわよくば店そのものを自分の所有物に出来ないだろうかと企み始めました。

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