第11話 私を敵にしたらどういう事になるのか教えて差し上げますわ

私の回想から現実世界に話を戻しましょう。

恐らく早ければ明日、遅ければ明後日にはマイスタン公爵様と対峙しなければならない。

とりあえず、店員達に婚約破棄された事と、今後の対応について話し合うことにしましたわ。


「この度、私達の努力の甲斐あって婚約破棄を言い渡されましたので私とルードヴィッヒ様は婚約者ではなく義弟になりました。マイスタン公爵家との契約に関しては私との婚約をした場合のみ有効となりますので今後も今まで通りの対応でよろしいかと思われますわ」

「はいっ!!!!!」


そう、今回の家族割の話はあくまで私との婚約にのみ発生します。

将来私と結婚し、婿養子として我が家に入るのなら有効ですが婚約者が妹になった場合、この契約は無効になりますので他の業者と取引内容は同じになります。

最初にルーチェ紹介での家族割の取引を持ち出された時、書類にサインをして頂き、王宮の専門部署に確認して頂いてから提出しましたので覆す事が出来ません。


故にマイスタン公爵様がこれから喚こうが叫ぼうが問題ありません。

此方も直ぐに対応出来る様に陛下に弁護士と憲兵を数人お借りする事にしましょう。

その方が早く婚約破棄を成立させれるでしょう。

何故陛下にそんな畏れ多い事を頼めるのか?と疑問を持つ方も居ますが、それは私の母親であるメルシアは現王妃殿下の実妹で陛下は私にとって叔父に当たります。

私のお母様は私を産んでから体調を崩す様になり、病に伏せてしまい亡くなってしまいました。

因みに要らないと思いますが愚妹とは異母兄弟です。

私には王家の血が受け継がれていますので人より魔力が多いと表向きには言われています。

昔から王家は血の濃さから平民よりも魔力は多く濃いとされています。

本当は女神様パワーで人より多いなんて言えないですわ。

一応王位継承権もありますの。

まぁ、下の方ですけどね。

なる気もありませんが。

以前、没落しかかったスパニッシュ家は王女であるお母様が降嫁したからこそ公爵家の爵位を維持できて居ます。

血筋を重んじる貴族社会。

お母様が居なくなり、私まで居なくなったら公爵家はまた没落するでしょうね。

今の所出て行く予定はありませんが、今回の婚約破棄について問題が出れば即刻他国へ行く準備はしています。

その際は商会事出て行く予定なので王家の血筋も居ない公爵家は王家の威光も無くなり、また没落の一途を辿るでしょう。

没落する公爵家を見るのもまた一興かも知れませんわね。


そんな事を思い浮かべて少し笑ってしまいましたが、私は直ぐ様陛下に手紙を書き、ウィルソンのスキル【テイム】で使い魔にした獣魔に手紙を渡して届けて貰うように頼みました。

ついでに今までマイスタン公爵様が私のお店で暴れて壊したものや、嫌がらせの数々も教えてあげましょう。

その時に此方が失費した金額も。

今までは婚姻関係があったので黙っていましたが無くなった今、黙る必要が無くなりましたからね。


私を敵にしたらどういう事になるのか教えて差し上げますわ。


「貴方達はいつも通り店の運営をよろしくお願い致しますね?もし、マイスタン公爵様又は部下の方々が来ても今まで通りの対応で問題ありません。酷いようであれば憲兵隊には何時呼んでも良いようにとお墨付きは頂いています。早急に対応して貰ってください。お客様に迷惑がかかる事が一番の問題ですので…みんなには大変な面倒事を押し付けるようで申し訳ないけれどこれから少しずつ収まると思うから今暫く耐えてくださいね?そうだ、私が新しく作ったお菓子が冷蔵庫の中に入ってるから仕事終わりにでも食べてちょうだい?『生キャラメル』ってお菓子なのだけどみんなの評価が高ければ新商品にしようかと考えていますの。昨年出した塩キャラメルよりも柔らかく溶けてしまう様な食感を楽しんでください。また会った時にでも感想や改良点などの意見をくださいね?まだまだ改良の余地はあると思うから少しでも良質な商品にしていきましょう。では、私は一時帰宅します。夕食を頂いてからまた少しやりたい事があるから戻るわ」


そう店員達に言葉を残して転移魔法で帰宅する事にしました。

転移するギリギリまで店員達の歓喜の声を聞きながら自分の部屋に戻り、そのまま食堂にやってきました。

食堂に入ると半泣きのお父様と不貞腐れた愚妹と穏やかに笑うお義母様が居ました。


まだ私の穏やかになる時間は訪れないようですわね。

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