第9話 それが公爵令嬢の意地ですわ

あの日から私は毎日時間があるだけずっと魔法を鍛えに鍛える事にした。


この異世界で好きな事をして自由に生き抜く為に。

見知らぬ誰かにまた殺されない為に。


日々の訓練の結果、魔力量も大幅に増えて宮廷魔導士並の魔力量を誇り、基本的な属性魔法は殆ど使える様になり、今は応用魔法を練習しています。

魔法の訓練はどの勉強よりも奥が深く楽しく学べます。

出来る様になった時の達成感がとても心地よく、一つ出来たらまた一つと新しい魔法の研究も同時進行で行えました。


勿論、ミナーヴァ様に言われた通り【隠匿のスキル】を使って当たり障りないデータに改竄しつつ、来るべき日の為にも力を付けていった。


この世界の知識や歴史、淑女としてのマナー、体力アップ、護身剣術に魔法。


有りとあらゆる知識や能力を子供のうちに叩き込み、ミナーヴァ様に与えられたスキルを少しでも早く使える様になる為に陰ながら訓練し、努力の末全てを身につける事が出来ました。


お陰様で6歳にも関わらず並の王国騎士よりも強くなりましたわ。

あくまで魔力もスキルも隠していますので誰も知りませんけどね。


その頃に私はルードヴィッヒ様と婚約しました。


ルードヴィッヒ様は同じ公爵家の出ですが、何と言いますか顔だけは良いのですがとてもナルシストで自分中心なかなり痛いお馬鹿さんでしたわね。


頭もなかなかによろしくないからかなりお可哀想に…(棒読み)


お父様が決めた婚姻なので私は何も言えませんでしたが、本音を言うと何とかして婚約破棄に持ち込んで自由な身になりたい…前世では出来なかったから恋愛してから結婚したい。

でも、婚姻は家同士の繋がり、本人達の意思などありませんのでそう簡単に破棄は出来ません。


恋愛結婚はこの世界的に難しいかも知れないけれど、向こうから婚約破棄して貰える様に此方から動けばいいじゃないですか?


一時期流行っていた悪役令嬢の断罪劇みたいな?

NTRものは大好きです。

それならドラマティックに『真実の愛を見付けた』とか言って綺麗に振って貰おう。


自分から婚約破棄を申し出ると慰謝料とられて馬鹿を見るのはスパニッシュ公爵家。


そんな事は必ずあってはいけないからこそ必ず、相手が有責に出来る様に一から仕込んで断罪して貰い、婚約破棄して貰いましょう。

若干考えるのもめんどくさいけど、お家に害が少なく、お金も貰えるのならどんな事してもしてみせます!

やるからにはやる有言実行あるのみ!

それが公爵家令嬢の意地ですわ!


良しっ!

私は婚約をしたその日、婚約破棄する為に行動を起こす事にしました。

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