第6話 私は異世界転生令嬢ですわ

私はこの世界に転生する前は日本と言う国に居ました。

その時の名前は大原沙羅。

年齢は31歳。

そこでは、オタクを隠しながら趣味の為に必死で働く社畜として平凡に暮らしていました。


ブラック企業で働いていたので日々パワハラと通勤ラッシュと戦いながら、心のオアシスであるアニメ、ゲーム、漫画、料理の為に心身擦り切らしながら働いていました。

頑張って働いていたにも関わらず神様は意地悪…


私は酒気帯び運転のトラックに轢かれて死にました。


本当に呆気なく死にましたわ。

ラノベとか漫画とかなら見知らずの子供を庇ってカッコ良く、いい事をして死ぬのならまだしもただ轢かれました。

轢かれた瞬間は何も考えられず、ただ突然の痛みと徐々に体が冷えていき、意識が無くなっていく感覚だけ残されて意識が消えるギリギリまで『何故私がこうなったのか』と薄れゆく中、考えていました。


私何か悪い事しましたか?

ただ趣味の為に必死に働いて生きてただけですよ?

こんな死に方ありますか?

両親も幼い頃に事故で亡くなり、育ての親である祖父祖母も私が大学卒業後、暫くして亡くなった。

周りの家族が居ない寂しさを必死に堪えながら今まで生きてきたのにこんなアッサリ轢かれて死ぬなんて…哀れ以外の何者でも無い。

でも、やっとみんなの元に行けるのかな?と言う反面やりたい事まだやり切れてないから悔しい…と言う気持ちもあり、凄く頭も心もゴチャゴチャしだした。


あぁー結局結婚はおろか恋人だって作れず死んでしまうなんて憐れ以外の何者でもない…

男性なら30歳過ぎても童貞なら魔法使いになるのなら女性で処女だった私は魔法少女にでもなれるのかしら?

なんて馬鹿げた事を想像して笑ってたのに本当に魔法少女のまま帰らぬ人になってしまいました…洒落になりません。


まだやり残してた乙女ゲームやりたかったなぁ…


そんな思いとは裏腹に私はこの世界に新たな生を受け、スパニッシュ公爵家の長子として産まれました。


死んで意識を失ったと思って、暫くふわふわとした空間に居たはずの私はいつの間にか赤ちゃんの姿になってベビーベッドの上で目を覚ました。


此処はどこ?私は誰?状態で必死で考えるも分からない。

言葉を口にして整理したくても赤ちゃんだから話せないし…体も思うように動かない。

どうしたもんかなぁーととりあえず、天井をじっと見ら事しか出来ません。


すると、天井から暖かい優しい光の球が現れてその中からピンクブロンドのふわふわとしたカールがかった髪で空色の瞳を持つ美しいお姉さんが現れた。


それが私と女神ミナーヴァとの出会いでした。

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