第3話 ノシつけてお渡ししたいくらい要りません
先程まで凍らされた名残りが残っており、まだ震える愚妹を見下ろしため息を吐きます。
ここまでされたら普通姉に対して恐怖を抱き、それなりの貞淑な態度を取れると思うのですが、お馬鹿だからでしょうか?
いつも反抗的な態度しか出来ません。
少しはまともな態度が取れれば私も手荒な真似はしないのですけど御理解頂けないのが残念で仕方ありません。
流石に反省している様子なので愚妹が聞きに来た質問の答えを返してあげましょうかしら。
「貴女の言う通り、本日ルードヴィッヒ様から婚約破棄をされました。そして、私も了承させて頂きましたわ。」
「ほんと!!やったぁーこれでルードヴィッヒ様と結婚出来るわ!!」
「おめでとうクルシュ。貴女はずっと好きでしたものね。」
あのお馬鹿ボンボンと結婚出来ると喜んでいる間抜けな愚妹を呆れた目で見てしまった。
あれの何処が良いのでしょうか?
きっと婚約してから後悔するパターンなのは目に見えて分かりますが、折角婚約破棄出来るチャンスを無駄にしたくありませんので黙っていようと思いますわ。
私がにこやかに祝福していると愚妹が不思議な顔をしてきた。
またお仕置きされたいのかしら?
「お姉様は私に取られて悔しく無いの?」
はぁ?
まさか、悔しく無いの?と聞かれるとは思ってもいませんでしたわ。
寧ろノシつけてお渡ししたいくらい要りません。
全力で返品拒否しますわ。
「私は全く悔しく無いですわ。あの方を元々愛してもいませんでしたし、何より婚約者が居るにも関わらず他の女に現を抜かす様な男は此方から願い下げです。今回の婚約は政略結婚だから仕方無く受け入れただけですわ。」
「ふーん、あっそ…」
「貴女が思う様な感情を抱いてあげれ無くて残念でしたわね。」
「別に…そんな残念なんて思ってないわ…ただ奪った事には変わりないから少しは罪悪感あった私が馬鹿みたいって思っただけ…」
「あら、貴女の辞書に罪悪感なんて文字が合ったのかしら?それは意外ですわね。」
「でも、訂正するわ!!お姉様がそんな感じなら私は一切気にしません!!誰よりも幸せになってみせますわ!!」
「あら、頑張ってね?」
我が愚妹ながらお馬鹿さん丸出しな発言ですがまあ…あの子の無駄にポジティブシンキングな所は嫌いではありませんよ。
まぁ、精々幸せになってください。
これは姉として貴女に思う本当の気持ちでもあります。
「あぁ、そうでした。ルードヴィッヒ様がお父様に婚約破棄を伝えるのに抵抗があるそうですわよ。貴女が代わりに言ってあげたら?未来の婚約者として。」
「そうなのね!!じゃあ、ルードヴィッヒ様の代わりに私行ってくるわ!!」
そう言った愚妹は勢いよく扉まで走り、大きな音を出して扉を閉めて出て行きました。
先程のお仕置きは何だったのでしょうか…仕方ありませんからまた今度改めてお仕置きしましょう…
そんな事を考えていましたがやっと静かな平穏が訪れると思うと嬉しくて顔が綻んでしまいました。
さぁ、これからゆっくり部屋で過ごしてゆっくりお茶でも嗜みましょうかしら?
夕食までの時間を穏やかに過ごす事にしました。
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