第20話

義父が小松崎さんの家に遊びに行くと言うたことが原因で発生した乱闘事件が原因で、アタシとダンナの家族の関係がより気まずくなった。


話しは、次の日の昼過ぎのことであった。


義父とダンナは、それぞれの職場で働いていた。


義母は、パート先で働いていた。


アタシは、ユニクロで働いていた。


義弟は、繁華街で乱闘事件を起こしたあとあちらこちらを逃げ回っていた。


現場から逃げ出す際に、義弟はスマホをすてて逃げた。


そのため、家族や周囲の人たちとの連絡網が寸断された。


義弟はそのうちヤクザにとっ捕まったあとコンクリ詰めにされて、三津の海にドラム缶ごとドボーンと落とされるだろう…


アタシは、ダンナの家のもんがどうなろうと知らない…


時は、午後2時半頃であった。


ところ変わって、天山の国道33号線の交差点付近にあるイオンスタイルにて…


イオンスタイルは、義母がパートで働いている場所である。


パートを追えた義母は、歩いていよてついよ立花駅へ向かう予定であった。


義母は、西側の出入口(年金事務所がある方の通り)から朝生田町のバス停がある方へ向かって歩いた。


そこへ、近所の奥さまが通りかかった。


近所の奥さまは、義母に声をかけた。


「ちょいと、菊本の奥さま。」

「あら、ご近所の奥さま。」

「ちょいと話しがあるけどかまん?」

「えっ?、お話しって?」


奥さまは、困り顔で義母に言うた。


「あんたー、ゆうべあんたー方のお嫁さんがおらびよったけど、あれどしたんで?」


義母は、つらそうな表情で奥さまに言うた。


「すみませんでした…」


奥さまは、あきれ声で義母に言うた。


「あんたー、もしかしてお嫁さんにきついイビリをしよんじゃないの?」

「そんなことはしていません!!」

「ほんとうかしら…」

「奥さま!!」

「あんたーの嫁いびりが原因で、近所からクレームがきとんよ…わかっとんかしらねぇ…」

「すみませんでした…」


奥さまからどぎつい声で言われた義母は、ことの次第を奥さまに言うた。


「嫁がおらんだ原因は…主人が…今度の日曜日に…職場の人の家に…家族全員で遊びに行くと言うたのです…」


奥さまは、いいわけをならべている義母にドキツイ言葉を浴びせた。


「あんたーのダンナは、小学校何年生?」

「奥さま、それはどういうことですか!?」

「あんたーのダンナは、テレビゲームをする目的で友達の家に遊びに行く小学生のガキよねぇ…」

「奥さま!!変なことを言わないでください!!」

「変なことを言いたくなるわよ…あんたーのダンナがでかいのは図体だけね…」

「奥さま!!主人は長男夫婦に家を持ってほしいから、職場の人の家に遊びに行くのです!!」

「だから、どういう目的で行くのよ?」


奥さまは、変な目つきで義母に言うた。


ヤッキになった義母は、奥さまに説明した。


「ですから、職場の人は6ヶ月前に新築の家を建てたのです!!」


奥さまは、よりいやたい目つきで義母に言うた。


「ようは、あんたのダンナは職場の人が新築の家を建てたことをねたんでいるんでしょ…」

「そんなことはありません!!職場の人が新築の家を建てた時にお世話になったハウジング会社のことが知りたいから遊びに行くのです!!」

「そんな話、信用できん…」

「奥さま!!」


奥さまは『話し変わるけど…』と義母に言うたあと、よりいやたい表情でこう言うた。


「あんたー、あんたーの娘はおむこさんいないの?」

「えっ?長女は、おむこさんまだだけど…」


義母が言うた言葉に対して、奥さまは義母にケチをつけた。


「ほんならやめておいた方がいいわねぇ~」


ケチをつけられた義母は、奥さまを怒鳴りつけた。


「奥さま!!それはどういうことですか!?」


奥さまは、よりいやたい言葉で義母を攻撃した。


「あんたーのダンナの悪い性格が悪いから長女さんのゴエンが逃げたのよ…今からお見合いしても、お相手は劣悪な男しかいないわよ…」

「奥さま!!これ以上うちの家族にケチつけないでください!!…でないと、アタシにも考えがあるわよ!!」


義母は、奥さまを怒鳴り付けたあとその場から走り去った。


奥さまは、ニヤニヤした表情で義母の背中を見つめた。


さて、その頃であった。


ところ変わって、堀江町にある伊予銀行の支店にて…


支店は、ダンナの職場である。


時は、夕方4時過ぎであった。


ダンナは、デスクワークをしていた。


その時に、課長がダンナに声をかけた。


「ああ、菊本くん。」

「課長。」

「そのままでいいから、話しを聞いてくれるかなァ?」

「あっ、はい…」


課長は、おだやかな声で言うた。


「この前の話しだけど、受けてくれるかなぁ~」

「この前の話って、なんでしょうか?」

「だから、余戸(ようご)の支店に移ることと新しい住まいが見つかったことだよ…」

「ああ、そうだった…」


ダンナは、ひと間隔おいて課長に言うた。


「余戸へ移る件は、お受けいたします。」

「そうか…それじゃあ、来年の1月1日付けで異動できるように本店に伝えておくから…それじゃあ、新しい住まいはどうするのかなぁ~」


それを聞いたダンナは、とまどい声で課長に言うた。


「課長。」

「なんだね。」

「ちょっと…困りごとがあるんです。」

「それはなんぞぉ?」

「私の父が…今度の日曜日に、父の職場の人が建てた新築の家に遊びに行くと言いました。」


それを聞いた課長は、怒った声で言うた。


「キサマの父親は、小学校何年生ぞ!?」


ダンナは、キョトンとした表情で『はっ?』と言うた。


キョトンとした表情を浮かべているダンナにこう言うた。


「キサマの父親は、友達の家にテレビゲームをしに行く小学生のガキか!?」


ダンナは、課長にこう言うた。


「課長。」

「なんぞぉ!?」

「父は小学生じゃありませんけど…」

「それがなんじゃあいよんぞ!?テレビゲームじゃなければなにしに行くんぞ!?」

「父は、職場の人に新築の家を注文したハウジング会社が知りたい…」


課長は、切りすてる言葉をダンナに言うた。


「だから、オドレのテテオヤは小学生以下なんや…」


ダンナは、むっとした表情で課長に言い返した。


「課長!!それはどういう意味でしょうか!?」


課長は、ダンナにこう言い返した。


「意味はある…オドレのテテオヤが人の家に遊びに行くと言うこと自体がヨウチや!!なにがハウジング会社のことを聞きに行くのだか…」


義父をボロクソに言うた課長は『お前の年齢では新築の家を持つなんて無理だ…』と決めつけ言葉を言うたあと、ダンナにこう言うた。


「あのな菊本くん…君は新築の家を持ちたいといよるけど、やめといた方がいいよ…」

「(ムッとした表情で)どうしてですか!?」

「そんなの決まってるだろ…家を持つと言うことは、コストがかかるのだよ!!…コツコツ貯金したカネで建てたと言うても、それは頭金分や!!…あとは、35年かけてローンを払う…菊本くんにそれができるのか!?」

「35年かけて…ローンを払う…」


それは…無理だ…


ダンナは、そうつぶやいた。


課長は、ダンナにボロクソに言いまくった。


「だから、オドレは自立できんのや!!私はくり返して親離れせえと言うとんぞ!!」

「ですから、課長の言うてる親離れの意味が分かりません…」

「オドレはハンロンすることは一丁前だな!!だから親離れができんのよ!!…もういい!!仕事に戻れ…ったく、うちの支店の従業員どもはどいつもこいつも(ブツブツ)…」


課長は、自分のデスクの横に置いてるゴルフクラブを手にしたあと、外へ出て行った。


ブチ切れたダンナは、平手打ちでデスクをバーンと叩いた。


端で聞いていた女性従業員さんたちは、口々に課長の悪口を言いまくった。


職場の雰囲気は、どす黒く淀んでいた。

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