第18話
時は、2018年10月13日の午後1時過ぎであった。
ところ変わって、松山市上市の道後公園のすぐ近くにあるうめ乃や(かっぽう旅館)にて…
旅館の奥座敷に菊本の家の人たちと間に入る家のご夫婦がいた。
菊本の家の家族は、夫婦(ともに70代)と長男・麗斗(かずと・45歳・行員)と次男・尚斗(なおと・35歳・工場作業員)と長女・菜永(なえ・30歳・家事手伝い)の5人である。
飯室のムスメムコは、養子縁組で菊本の家に来たコだった。
(飯室のムスメムコは、生まれた時乳児院にいた。)
アタシは、菊本の家の長男・麗斗とお見合いする予定であった。
間の席に座っている夫婦は、菊本の主人のかつての職場の上司の星越(ほしごえ)家の夫婦であった。
テーブルの上には、かっぽう重弁当が並んでいた。
(ガラッ…)
しばらくして、座敷のしょうじがあいた。
青紫色の着物を着た仲居さんが、正座して星越家の夫婦に声をかけた。
「お待たせしました…とし子さまがご到着なさいました。」
このあと、アタシは弁護士さんと一緒に座敷に入った。
弁護士さんは、菊本家のご家族と星越家の夫婦にごあいさつをした。
「ただいま到着しました…よろしくお願いいたします。」
ごあいさつを終えたあと、弁護士さんはアタシに『座れ!!』と怒鳴りつけた。
なんでアタシがおらばれないかんのよ…
しんどいわ…
アタシは、つらそうな表情を浮かべながら所定の席に座った。
弁護士さんは、アタシに『菊本家の夫婦にわびを入れろ!!』と命令した。
アタシは、言われた通りに菊本家の夫婦の前でおわひの言葉を述べながら深々と頭を下げようとした。
「このたびは、菊本家の大事なゴシソクさまを…」
その時に、主人がアタシを止めた。
「いや、わびなくてもいい。」
なんで『わびなくてもいい…』と言うのよ…
アタシは、菊本のご主人にひと言でいいからおわびをさせてほしいと言うた。
「それでは良心が痛みます…ひと言でいいからおわびをさせてください!!」
菊本のご主人は、アタシに『おわびなんかしなくてもいい!!』と言うて止めた。
奥さまは、アタシにおわびしなくてもいい理由を説明した。
「広島での一件については、飯室の家の人たちが非を認めて、刑事告発はしないと言うことで終わったのよ。」
だからといって、アタシはムザイホウメンで終わりと言うわけではなかった。
2度目のダンナの家とリエンしたあと、三原の実家に帰らずに広島市内で勝手し放題して暴れ回った。
これ以上、勝手し放題したら手首にわっぱ(手錠)がはまる…
飯室の家のムスメムコを殺したことについて、菊本家の夫婦は『(ムスメムコ)は飯室家にムコヨウシに行った時点でカンドーした…』と言うた。
菊本家の夫婦は『(ムスメムコ)の死亡保険金が入ったから、しまいにせえ…』とアタシに言うた。
ムスメムコの死亡保険金は、総額10億超であった。
菊本家の夫婦が全額受け取った。
ムスメムコを死なせた件についてはしまいとなった。
しかし、アタシが広島市内の暴力団関係者とトラブった件の解決してくださった恩返しをしなければならない…
アタシは、弁護士さんから恩返しをするためにすぐに再婚しろと言われた。
アタシは、星越家の夫婦にお見合いをショウダクして再婚すると伝えた。
星越家の夫婦は、過度にやさしい声で言うた。
「引き受けてくださるのね…よかったわ…」
「ああ、これで問題はすべて解決した。」
その後、星越のダンナは麗斗にきしょく悪い声で言うた。
「麗斗くん、今までよくガマンしたねぇ…もう幸せになってもいいよ…」
今までよくガマンしたの幸せになってもいいよって…
それ、どう言う意味かしら?
アタシは、変な目つきで麗斗でにらみつけた。
麗斗は、にがわらいの表情で星越のダンナに『はい、今日までじっとガマンしたので幸せになります…』と言うた。
菊本の夫婦は、満面の笑みで言うた。
「麗斗、よかったなぁ~」
「麗斗にふさわしいお嫁さんが見つかってよかったねぇ…」
麗斗は、にがわらいの表情で言うた。
「ぼく、がんばるよ…銀行の仕事をがんばるよ…」
端で聞いてたアタシの背筋に、より恐ろしいセンリツが走った。
アタシ…
嫁ぐ家を間違えた…
菊本の家の人たちは、きしょく悪いわ…
最初の家のダンナといい…
2度目ダンナといい…
両親は過度に甘やかしまくっている…
3度目のダンナは…
より劣悪な男だわ…
そう思ったアタシは、婚姻届を出さずに3度目の結婚生活を始めることとなった。
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