第16話
義姉の結婚問題で、家庭内は異常事態におちいった。
けど、義父母は無関心であった。
じっと出会いを待つのはイヤと言う義姉…
けど、義父母は動かずに待っていた方が自然に結婚相手が来てくれると言う…
双方の違いが原因で、問題はきわめて深刻になった。
久永さんは、壊れかけているエンダンをまとめることで手がいっぱいであった。
そのために、義姉と他に引き受けた20組以上のお見合いが放置されていた。
8月16日のことであった。
久永さんは、あいつの家にわびに来た。
家の居間にて…
久永さんからの説明を受けた義父母は『どんなにわびても許しません!!』と怒った。
義父母からきつい言葉を言われた久永さんは、必死に土下座してわびていた。
しかし、義父母に誠意は届かなかった。
義父母は『もういいから、帰れ!!』と久永さんに言うた。
久永さんは、別の方法に変えますと義父母に言うた。
「それなら、別の方法に変えてひなこさんのお見合いをセッティングします…方法は二つあります…ひとつは、うちの工場に勤務しているCくんを紹介します…Cくんは、27歳で独身です…」
久永さんは、工場の従業員さんのCくんを紹介しますと言うた。
しかし、次の言葉が原因で義父母の怒りを買った。
「Cくんには付き合っている彼女がいるけど、働き者のDさんのために別れてくれと頼みますから…」
「ふざけるな!!ことわる!!」
「すみません…取り消します…だったら、バスツアーに参加すると言うのはどうでしょうか?…来週23日に神石高原町の森林公園に日帰りで行くお見合いバスツアーです…神辺の青年会が主催ですが、参加者が少ないので困っているんです…申し込みしておきましょうか?」
お見合いバスツアーがあることを聞いた義父母は、久永さんに申し込みしてくださいとお願いした。
しかし、義姉はバスツアーに参加する気持ちは全くなかった。
それが原因で、恐ろしい事件に発展するのであった。
そして、バスツアー当日の8月23日がやって来た。
この日は、ものすごくむし暑い日であった。
義姉は、久永さんが申し込んで下さった青年会の主催の日帰りのバスツアーに参加して、神石高原町にある森林公園へ行った。
独身の男女合わせて40人が参加をするお見合いバスツアーかと思ったら、普通の日帰りのバスツアーだった。
久永さんにだまされたと思い込んだ義姉は、すねた表情を浮かべた。
森林公園に着いたのは、朝の10時頃であった。
森林公園にて…
みんなが、バドミントンやミニサッカーなどを楽しんでいるのに、義姉は別のところへ行って、ひとりの時間を過ごした。
お昼のお弁当の時間が来た。
義姉は、お弁当を取らずにひとりでいじけていた。
アタシは…
なんで、バスツアーに参加したのかな…
お見合いバスツアーと言うから参加したのに、だまされたわ…
義姉は、ますますふてくされた。
そんな時であった。
32歳の保母さんが義姉に優しく声をかけた。
「ひなこさん。」
「何よ!?」
「ひなこさん、お弁当を食べましょうね。」
「イヤ!!食べない!!」
「ひなこさん。」
「あんた!!何しに来たのよ!?」
「何しに来たって、ひなこさんのお弁当を持ってきたのよ。」
「いらない!!」
義姉がますます怒り狂ったので、保母さんは困り果てた。
それでも保母さんは、義姉に優しい声で言うた。
「ひなこさん…今日のお弁当の中身は何が入っているかな…ひなこさんの大好きなミートボールとシュウマイが入っているわよ。」
「あんた何しているのよ!?」
「何しているって、ひなこさんがお弁当を食べることができるようにと思って工夫しているのよ…」
保母さんが人を小バカにしたと思い込んでブチ切れた義姉は、近くにあった石で保母さんのこめかみを殴った。
(ゴツーン!!)
「痛い!!」
「ふざけるな!!あんたは何かんがえているのよ!?」
サクラン状態におちいった義姉は、保母さんに殴るけるの暴行を加えた。
この時、数人の参加者が義姉を止めようとした。
しかし、義姉は止めに入った参加者の男性5人を石で殴りつけて殺した。
その後、ぐったりとなっている保母さんが義姉に大きな石で頭を殴られて殺された。
そして…
(ブチッ…グラッ…ドサッ!!)
サクラン状態におちいった義姉が意識を失って倒れた。
(グハッ…ドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロドロ…)
義姉は、口から大容量の血液と泡を吹き出した。
同時に、大量の失禁を起こした。
事件発生から1時間後であった。
森林公園に、神石高原町の消防署の救急車・救助工作車と広島県警のパトカーが次々と駐車場に入った。
保母さんは心肺停止におちいってから2分後に心不全で亡くなった。
止めに入った男性5人も、義姉に石で殴られて死亡した。
義姉は、脳挫傷を起こしてきわめて危険な状態におちいった。
急を要するために、ドクターヘリで三次市の病院に救急搬送された。
知らせを聞いた義父母は、警察署へ向かった。
義父母は、警察署で事情聴取を受ける予定である。
三次市内の救急病院に搬送された義姉は、重篤状態におちいった。
事件の翌日であった。
あいつが建設会社の宿舎から家出した。
あいつは、付き合っていた社長の娘さんを同じ職場仲間のFさんに取られたことを苦に荷物をまとめて家出した。
家出した時、あいつはスマホを持っていなかった。
あいつが家出したので、9月中に完了しなければならない工事がストップするなど、大パニックが発生した。
その日の夜8時55分頃に、恐ろしい事件が発生した。
「ギャァァァァァァ!!」
ラブホの室内で、やけつくような女性の悲鳴が響いた。
事件は、JR東福山駅の南東側の国道沿いの福山市引野町にあるラブホで発生した。
恐ろしい覆面をかぶった男が部屋にいた女性を刃渡りのするどいナイフで刺した。
女性は、その場で亡くなった。
亡くなった女性は、あいつが好きだった社長の娘さんであった。
もうひとりの男は、カノジョの恋人さんのFさんである。
覆面の男は、Fさんに刃物を向けた。
「たっ、助けてくれぇ…頼む!!命だけは助けてくれぇ…」
Fさんは、覆面の男に刃物で一撃を喰らって殺された。
事件発生から60分後、広島県警のパトカーが現場のラブホの前に到着した。
ラブホの周辺は、緊迫した空気に包まれた。
現場のラブホには、他に数組のカップルさんがいたが、ドアのカギをかけていたので無事であった。
事件から2日後の8月26日のことであった。
あいつが行方不明になったことと社長の娘さんとFさんが亡くなったことと工事が止まったことで会社は対応に追われていた。
久永さんは、あいつに何が起こったのか心配になったので、警察署に捜索願いを出した。
あいつの家は、大パニックにおちいった。
その頃であった。
アタシは、三原の実家にいた。
8月23日に父の親戚のおじが肝不全で亡くなった。
アタシは、葬儀に出席するために1日だけ帰省した。
ところ変わって、本郷町にある斎場(やきば)に行った。
斎場(やきば)の待合室でアタシは両親と一緒にあいつと離婚した後のことを話した。
「としこ…あんたこれからどうするのよ?」
母からの問いに対して、アタシは少し戸惑いぎみになった。
「この先のこと?」
「章介さんの家とギクシャクした状態が続いているのでしょ…この際だから離婚して、実家に帰ってきたら?」
母の言葉に対して、父はブツブツと言った。
「こんなことになるのだったら嫁に出さずに婿を取るべきだった!!婿養子にしておけば、としこが不幸にならずに済んだのだ!!(ブツブツ)…」
父の言葉に対して、アタシはこう言うた。
「お父さん、お母さん…アタシ…ダンナさん…いらない…もうたくさんよ…」
「そうね…章介と言い、雄一郎と言い…どうしてとしこのダンナは自己チューの男ばかりが多いのかしらねぇ…両親がモンペアだから章介と雄一郎がクソバカになったのよ!!なにが『一生懸命になって育児してきた…』かしらねぇ…」
「全くその通りだ…もういいだろう…こうなれば…遠方にいる息子夫婦のうち一組に実家に帰ってくるようにお願いしよう…としこの結婚生活が破綻した以上、頼りになるのは息子夫婦だけだ。」
「そうね…それじゃあ、東京にいる(長兄)の夫婦の家族にお願いするけどいい?」
母の言葉に対して、父はなにも言わなかった。
そして、バリバリと音をたてておせんべいを食べた。
日付が変わって、8月27日の深夜0時過ぎのことであった。
義姉が入院している三次市内の病院にて…
集中治療室にいる義姉は、今も危険な状態であった。
その時であった。
集中治療室に、恐ろしい覆面をかぶった男が侵入した。
そして、義姉の生命維持装置をオフにした。
(ブーッ、ブーッ、ブーッ、ブーッ…)
けたたましいブザーが、集中治療室に鳴り響いた。
通りかかった男性の医師がスイッチを入れ直そうとした。
その時であった。
背後から恐ろしい覆面をかぶった男が刃渡りのするどい刃物で男性医師のくびもとを激しく刺した。
「グワーッ!!」
男性の医師は、恐ろしい覆面をかぶった男に刃渡りのするどいナイフで一撃を喰らって殺された。
事件発生から三時間後のことであった。
現場の病院に、広島県警のパトカーがけたたましいサイレンを鳴らしながら入った。
義姉は、生命維持装置を切られた直後に亡くなった。
捜査1課の刑事たちと鑑識の捜査員たちはピリピリした表情で現場検証をしていた。
容疑者に結び付く証拠がなかったので、捜査はナンコウをきわめた。
その中で、新たな問題が発生した。
福山市の建設会社の宿舎から家出したあいつが、会社の金庫から大金を抜き取って逃げたことが明らかになった。
建設会社の社長さんは、あいつを窃盗罪で刑事告発した。
広島県警が会社側の告発状をジュリしたので、あいつはサツに追われる立場に追い込まれた。
9月23日のことであった。
アタシは、あいつの家とリエンしたあとは三原市の実家帰って、のんびりと暮らすと決めた。
この時、あいつの家では新たな問題が発生した。
家の権利書が、義父母の知らない間に紛失したことが明らかになった。
義父母は『権利書がなかったら家で暮らして行くことができない助けてほしい…』とさわいでいた。
義父母は、親族が福山市の社会福祉協議会に申請していた老健施設に入所することになった。
あいつの家から家財道具が次々と運び出されてトラックに積み込まれた。
その間に、義父母は施設の車両に無理やり押し込まれた。
『住み慣れた家で一生を終えたい』と泣き叫んでいる義父母を、施設の職員たちがだまらせるために殴るけるの暴行を加えてだまらせた。
施設の職員たちは、義父母を車に押しこめたあと、猛スピードで車を走らせた。
9月24日の深夜2時のことであった。
現場は、広島県庄原市の甲奴分かれ(こうぬわかれ)の国道の交差点にて…
(キキキキキ!!ドスーン!!)
あいつは、国道をひとりで横断していた時に走ってきたトレーラーにひかれて殺された。
あいつをひいたトレーラーは、岡山県方面へ逃走した。
そして悲劇は、最悪の結末を迎える。
9月27日のことであった。
アタシは、たくさんの荷物を詰めこんだボストンバッグと赤茶色のバッグを持って、JR福山駅にいた。
アタシは、これから山陽本線の電車に乗って、三原市へ帰省する。
もう、結婚はたくさんだわ…
いっぱい傷ついて…
いっぱい悲しんだから…
もういいわ…
アタシは、山陽本線のホームヘ向かおうとしたが、一度神辺へ行ってから三原へ帰ろうと思った。
あいつの家は、この日強制的に立ち退きとなっていた。
だから、あいつの家の最期を見届けようと思った。
アタシは、福塩線の列車に乗って一路神辺へ向かった。
アタシが神辺に着く一時間前のことであった。
(バリバリバリバリバリバリ!!ガシャーンガシャーンガシャーン!!ドスーン!!ドスーン!!)
あいつの実家だった2・5世帯住宅は、ブルドーザーで勢いよく壊れた。
アタシが現場に到着したのはそれから30分後であった。
アタシが現場に到着した時、あの2・5世帯住宅は半分が壊れた。
そして15分後、家は跡形もなく粉々に壊れた。
アタシは、にらんだ目つきで家の跡地を見つめていた。
クソッタレ章介は…
アタシをグーで思い切り顔を殴った…
その結果、家庭内の人間関係が壊れたのよ…
クソッタレの家の親族たちは…
お嫁さんを粗末にしたから…
バチが当たったのよ…
アタシは、ガレキと化した家の跡地をみつめながらブツブツとつぶやいた。
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