２・５世帯のなみだ

第15話

アタシがあいつの家を飛び出してから20日後のことであった。

家では、相変わらず義姉の結婚の問題で義父母がイライラしていた。

家を出たあいつは、再就職した建設会社の従業員さんの宿舎で暮らすことになった。

固定給26万円で、家電製品付きで冷暖房完備の個室で朝と夕方に温かい料理が出るなど…

待遇面は充実している会社だ。

この時、あいつは社長さんの娘さんが好きになった。

あいつは、娘さんと再婚することを前提にお付き合いを始めた。

あいつは社長の娘と再婚したいといよるけど、そうはさせない…

やっつけてやる!!

その一方で、義姉は気持ちと身体がヒヘイして、つらそうな表情を浮かべていた。

義姉は、自分の力で結婚相手を探すと言うてコンカツを再開した。

義父母や周囲に頼らずに自分の力で結婚相手を探す…

そう意気込んだ義姉は、列車を乗り継いで福山市内の結婚相談の店を歩き回った。

しかし、どの店も入会を断られた。

義姉は、広島市や岡山県の結婚相談の店へ行って入会のお願いをしたけど、そこでも断られた。

それが原因で、義姉は心身ともにヒヘイした。

2015年７月31日のことであった。

義姉が結婚相談の店へ行って結婚相手を探していることが近所に知れ渡った。

それを聞いた義母は、ひどくおたついていた。

その一方で、義父は義姉が幸せな結婚ができるには何が必要か…と考えた。

考え抜いた結果、『職場と家庭だけを往復する』『家族だんらんで晩ごはんを食べる』のふたつを守ればいいことだと結論づけた。

家族の時間を大切にしようと決意した義父は、定時に帰宅できる仕事に転職した。

義母は、食卓から変えるために食材を高級品に変えた。

それで義姉の結婚の問題が解決できると義父母は思っているけど、アタシはそうは思わない。

８月２日の朝のことであった。

家の食卓にて…

義姉は、義父母と一緒に朝ごはんを食べていたが『ごちそうさま…』と言うて席を立とうとした。

白ごはんとみそしるとおかずのアジのひらきときんぴらとひじきがだいぶ残っている。

義母は、義姉に心配そうな声で言うた。

「ひなこ、どうしたの？」

「食べたくない!!」

「食べたくないって…だったらおつゆだけでもいただいたら？」

「おつゆもいらん!!」

義姉がものすごくとがった声で言うたので、義母は義姉にどうしたのかときいた。

「ひなこ、なんで怒ってるのよ？ひなこにいいご縁が来るようにと思っておとーさんとおかーさんは一生懸命努力しているのよ。」

「アタシは、結婚をあきらめたのよ!!なんでいらんことするのよ!?」

（ドサッ…）

義父母を怒鳴りつけた義姉は、その直後にフラッと倒れた。

「ひなこ…ひなこ大丈夫？」

「大丈夫…ただのめまいよ。」

「結婚ができないストレスをため込んでいるのじゃないの？」

「ただの目まいよ!!一晩ねればおさまるわよ!!」

義姉は、義父母に『たいしたことない…』と言うた後、食卓から離れた。

義姉の頭痛やめまいなどは数ヶ月前からヒンパンに生じた。

コンカツがうまく行かないストレスが少しずつ義姉の身体にチクセキされたことが原因で、心身ともにヒヘイしている…

今の義姉の状態は、ゆとりがないので結婚したい気持ちはうせていた。