第24話
公安のデータマイニング、地道な捜査の結晶として一人の人物が浮上する。
しかし、その男は、全くのシロ、おどろきの白さ。
が、
この男が、演説もせずアジ文も書かずとにかくいっさい観測可能な活動を見せずしかし、どういう方法手段を持ってしてか、接触者をオルグし、共産テロリストを大量に供給している。データがそれを裏付けている。
男はマル経のけの字も口にしない日本史の、非常勤講師であった。その聴講生から大量の主義者が誕生しているのだ。男は執拗な任意聴取にも最初素直に、徐々にさすがに辟易といら立ちを表明したがそれこそ自然な反応で、もうまったくわけがわからないよ!。
最初に観た見鬼はその場で昏倒し一月ほど意識が戻らなかった。
男が発散していたのは強力な思念波だった。
それは、パンピーには無害な、
例えれば、厳冬の陽光のようなもので、
しかし、裸眼で望遠鏡で観測すれば火を吐く如くお察しで眼が、めがあああと有名のたうち必至決してマネしないで下さい。
そう、本来は無害だ、しかし。
内容は、現代人離れした、自然主義志向であり、聞く者が聞けばアナーキーな、原始共産主義そのものの、決して破壊傾向ではない、穏健な、プリミティブな、なればこその全否定。
太陽の日焼けだって要するにヤケドだ。
では、思想にヤケドした人間は、どうなるか。
魂の演説、拡散。
本人は無意識、聴衆も無意識、学術聴取にフォーカスした顕在意識の隙から無防備無警戒な無意識野へダイレクトに流し込まれる流行り病、反動主義。このご時世であるのでそれが、共産テロという身近な具象を得るが、本質は反組織反政府であり無政府であった。当然、まつろわぬ。
この男は、危険だ。
法力の常時暴走で精神感応、敢えて既存概念に置換すると催眠術の変種、というようなむちゃくちゃ苦しい説明に落とし込んでキクが報告を上げると、そして両者は対応に苦慮した。だって何の罪状でしょっぴけばいいのか。不幸な事故という強硬論も囁かれる中、要領の得ない説明と説得に男は当然困惑ししかし、愛し学ぶこの日本社会に自分の特異体質が不安定や危害を加えているなら、過去を赦免し以後を未然防止、協力する事でそれが叶うなら、喜んで国家に従う以後お世話になります旨、了承した。
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