第16話
ばかな。
九鬼公嗣はそれ、統合情報定時報告の最新号を開き、絶句した。
我が国の情報、情報機関は長年、所謂縦割り行政体系そのままの図式で推移していた。
嘗ての冒険小説の花形、調別、陸上幕僚監部調査部第2課別室、あれやこれや。
情報はとうぜん、必要なことが必要な者の手にあって初めて機能する、猫に小判、豚に真珠。それでは国の情報機関として余りにお粗末である。流石にそれはという事で遅まきながら情報の統合管理体制がようやく整備に向かったのが、情報本部の創設である。
防衛省、国軍内での統合情報管理のみならず、国内外、外務省、警察庁、公安調査庁他機関及び友好国とも連携し活動する。周知し、共有し、資産とする。
という次第で、本件も、無事彼女の手に届いたのである。
米軍からの着信、現地調査、決済他各種処理、都合3か月程のタイムスパンではあるが。
まあ情報という資産の性質上、分析分類評価必須、生データの垂れ流しとか雑音と変わらないぶっちゃけ迷惑業務妨害、しかたないね。
公安警察、とは、公共の安全と秩序、その維持、を目的とする警察である。
体制に抗うテロ組織、という図式では、国外では往時のIRAが有名だろうか。北アイルランドをイギリスから分離させて全アイルランドを統一する。暗殺爆殺武装蜂起、ずいぶんとハデにやらかしていたものである。ISIS?あれはヤラセだから。
一方驚くなかれ、平和国家ニッポンでもテロが横行した事例、時代が存在する。ウソだと思うなら連続企業爆破事件で今スグG。東アジア反日武装戦線、とか、今でもブサヨとかいう不穏当なタームが存在するのはまあ、身から出たワビサビ。天誅、って昔はウヨクの得意技だったのにね。
チヨダ?、サクラ、四係?、現在のゼロ?。そうした表向きの平和なわかりやすいいざこざに忙しい人たち、人は死ぬ、捕縛すればおけ、そうじゃない面倒な相手に対する組織。
キク。
なお、まつろわぬ、けがい。
公安警察に身を置きながら、彼女の捜査対象はそうした難物であった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます