桜智と健二の少し変わった生活

さとすみれ

1話完結

 今日も、マンションの二階にある私の部屋には電気がついている。それを確認したあと、私はウキウキ気分で階段を駆け上がった。

 ガチャリとドアを開けるとふわっと香ってくるトマトの匂い。私の大好物かなと思いながら、リビングに入ると、私の予想通り、大好きなナポリタンだった。

「あっお帰りなさい! 今日は桜智さちの大好きなナポリタンだよ」

「最高! さすが健二。今着替えてきちゃうね」

着替えたあと、二人で向かい合って言った。

「今日は料理してくれてありがとう! 頂きます!」

「いつも作ってもらっているから今日はお礼も兼ねて……頂きます!」

健二はナポリタンとオムライスと焼きそばしか作れないけど、私の帰りが遅くなる時は作ってくれるからありがたい。半分くらい食べたとき、健二が口を開いた。

「今日、ハルちゃんとのデートだったんでしょ? 楽しかった?」

「うん。やっぱり遥、可愛くてある意味大変だった。そういう健二だって今日は拓海くんとゲームしたんでしょ」

「まぁね、先に負けた方が次のデート全部奢りっていうのをかけて」

「よく拓海くんもやるじゃん自分が絶対負けるのに」

「まぁその狙いも込みで僕に言ってきたんだろうけどね。あっあと、今度の日曜に拓海がここに来たいって言ってるんだけどいい?」

「私も一緒でいいのかな?」

「後で聞いてみるけどいいはず。はるちゃんと四人で飲みたいっていう話からそう言われたから」

「オッケー。じゃあ確認取れたら後で言って。ごちそうさまでした!」

「僕もごちそうさまでした! 自分で言うのもなんだけど意外と美味しかったな」

二人で席を立って台所に立つ。私がお皿を洗って健二が拭く。もう私たちの生活の中では慣れたことだ。


 私たちは部屋をルームシェアしている。気づいた人もいるだろうが、お互い好きな人がいて、その相手はどちらも同性。だから、私たちの相手も私たちのルームシェアを許可してくれている。私たちがルームシェアを始めたのは三年前だが、今まで何もなかったのもお互いが異なるセクシャルを持っていたからだ。この生活が終わりを迎えるのは、おそらくどちらかがプロポーズをして同棲をするとなった時に出ていく時だろう。今日もいつものようにソファでのんびりしてお互いの部屋へ戻る。私たちの少し変わった生活である。

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桜智と健二の少し変わった生活 さとすみれ @Sato_Sumire

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