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2021年7月1日 17:52
「轍に大きな水たまり 多くの生き物が集いだす」前話の一節は、とても懐かしい土の匂いがしました。僕が生まれ育った東京の郊外も、僕が子供の頃はまだまだ舗装も少なくて、学校の行き帰り、水道が通る遊歩道には雨が降ると大小の水たまりが出来て、雨が上がって日が差すと、アメンボが泳いでいたものでした。この辺りは、水が少なくて、江戸時代までは荒れ地で、江戸幕府が開墾事業を行って、やっと人が住むようになったのです。土が痩せていたから、雑木林を作って、落ち葉から腐葉土を作って。水田は作れないから、陸稲や雑穀を作って、野菜などの商品作物を江戸の町に出荷する。小学生の頃、そんな郷土の歴史を授業で習ったものでした。決して風光明媚という訳ではないけど、営々と長い時間をかけて築かれて来た郷里の風景が、僕は好きです。交通も発達して、社会の仕組みも大きく変わって、東京の風景もどんどん変わって行きますけど、大地に依存し、土の上で人が生きるその本質は、きっと変わる事はないのだろうと思っています。こんなものか? とも思う。自分の力の小ささに苛立ちもする。でも、職業や生活スタイルがどう変わっても、決して過去を捨て去って行くのでなく、前日までの営みに新たな鍬を入れて行く、人は、そんな生き方で良いのでないかなと思っています。
「轍に大きな水たまり
多くの生き物が集いだす」
前話の一節は、とても懐かしい土の匂いがしました。
僕が生まれ育った東京の郊外も、僕が子供の頃はまだまだ舗装も少なくて、学校の行き帰り、水道が通る遊歩道には雨が降ると大小の水たまりが出来て、雨が上がって日が差すと、アメンボが泳いでいたものでした。
この辺りは、水が少なくて、江戸時代までは荒れ地で、江戸幕府が開墾事業を行って、やっと人が住むようになったのです。
土が痩せていたから、雑木林を作って、落ち葉から腐葉土を作って。
水田は作れないから、陸稲や雑穀を作って、野菜などの商品作物を江戸の町に出荷する。
小学生の頃、そんな郷土の歴史を授業で習ったものでした。
決して風光明媚という訳ではないけど、営々と長い時間をかけて築かれて来た郷里の風景が、僕は好きです。
交通も発達して、社会の仕組みも大きく変わって、東京の風景もどんどん変わって行きますけど、大地に依存し、土の上で人が生きるその本質は、きっと変わる事はないのだろうと思っています。
こんなものか? とも思う。自分の力の小ささに苛立ちもする。
でも、職業や生活スタイルがどう変わっても、決して過去を捨て去って行くのでなく、前日までの営みに新たな鍬を入れて行く、人は、そんな生き方で良いのでないかなと思っています。