25.生き抜いた十八人の覚醒者
その頃、ツーユーは仲間を連れてマザーゲートへ侵入していた。
結界への攻撃が始まったとき、外へ出て妨害しようとする上位のエニグマを食い止めるためだ。
マザーゲートは途轍もない大きさである。
広すぎる入口部分は人の手で塞ぐことはできないし、外に出るエニグマをすべて防ぐことは不可能だった。
よって、結界を攻撃中のアルファたちが邪魔になるような個体のみ討伐対象を絞っていた。
「十二時の方向、敵影12、推定戦闘力700、一班迎撃。十時の方向、敵影5、推定戦力1000、二班三班合同で迎撃。二時の方向、敵影1、推定戦力2400――私が行く。ハオラン指揮を代わってくれ」
戦場に立っているツーユーは素早く的確な指示を出す。
この的確な指示のおかげで、今まで生き残ったと言っても過言ではない。
そんな彼女を慕う十七人の仲間。
彼らは全員
この地獄のような場所を約半年も生き抜いてきた彼らは、そこらの
〈仙纏〉〈縮地〉〈天涯門八卦掌〉
ツーユーはオーラを足に纏い、ただ地面を蹴った。
その動きは本人以外には、相手との距離が一瞬で詰まったかのように感じる。
凄まじく練度が高い歩法だ。
美しく流れるような歩法で相手の攻撃を避けると、掌底で攻撃を加えていく。
「はっ!」
ある程度高いの戦闘力を持っているエニグマを中心的に狩っていく。
それから数十体のエニグマを討伐した頃、耳が痛くなる程の大音量で結界の崩壊を伝えられたツーユーたちは、ある場所に到達していた。
「この碑は――オベリスクか? 見たこともない文字だ」
「団長! これを見てください!」
離れた位置で探索をしていた団員の一人がツーユーを呼ぶ。
「これは……?」
「意味のある文章を成していませんが、地球上に存在する文字ばかり使用されています」
まるで子供が文字を学習する際に適当に文字を書いたような乱雑さだ。
「団長! こちらにもあります!」
また、少し離れた場所からツーユーを呼ぶ声がした。
「象形文字、アルファベット、アブギダ……文字体系で覚えているのはこの辺りだな。それ以外はどんな文字なのかすら分からない……おい! 解読できるものはいるか?」
ツーユーが周りを見渡しても解読できそうなものはいなかった。
「一つ一つの文字が何かは分かりますが……言語として前後の繋がりが無茶苦茶なので、意味が分かりません」
この集団で一番の頭脳は? と聞かれたら誰もがハオランと答えるが……そんな彼ですら解読は不可能だった。
一体どんな意味が……そして何故、エニグマが地球の文字を知っているのか。
この場にいる全員が、謎だらけのエニグマに対する漠然とした恐怖を抱いている。
「仕方ない、解読は後で良い。文字は石に彫られたものだから、三次元ソナーで凹凸を読み取って、写真と凹凸画像データとしてNESに送っといてくれ」
「「「了解です!」」」
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