22.深まる謎
「お? あったあった……これはなんだろう?」
肉体が崩れて黒い灰へと変化していくとき、灰にならずに残っていた光る珠。
慧が崩れ去ったドラゴンのエニグマの死灰から見つけたのは、直径10cm程の紫色に光る宝玉だった。
〈魂壊〉によって魂が崩壊するとき、本来ならそれに付随するもの――肉体と精神の全てが滅ぶはずだ。
しかしこの宝玉は崩壊せず残った。
「滅ぼした魂由来のものでは無いとすると……エニグマは純粋な生命ではないのかもしれないな。少なくとも地球上には存在しない方法で増えていくのだろう。でないと、肉体の内に自分以外の魂に付随する器官ができるはずがない」
慧はそう考えをまとめ、宝玉の観察を続行する。
宝玉の紫色の光は鼓動するようなリズムで発光している。
光の強さはほんのり明るい程度で、活発さは感じなかった。
「一体この宝玉はなんだ? 〈星の記録〉にもデータが無い。完全に未知の物質だ」
危険な気配はしないので、ひとまず安全だろうと判断した慧は、その宝玉を拾い上げた。
手のひらに収まるサイズでガラスのような手触りだが、人の体温のように温かい。
「あとで、アルファに送っておこう。多分この宝玉は欲しがるだろうからな」
そう言って〈星の記録〉を発動しようとしたとき、慧の魂力が握っていた宝玉に流れ込んで〈星の記録〉が不発した。
「――は?」
その瞬間に紫色の発光が消えた。
次の瞬間、先程とは打って変わって強く発光し始めた宝玉が、白い光を放ちながら、鼓動を強めていく。
そして――消えた。
宝玉に宿っていた白い光は慧の体に吸い込まれるようにして消えていき、手には光を放たなくなった宝玉だけが残っていた。
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名前:近衛慧
性別:男
年齢:17
戦闘力:4200
想力:2100
称号:使徒
討伐:悪夢の竜眷属
想器:1/100
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