17.ドラゴンの大魔術
「――上か! あれは? 魔法陣?」
魔法陣の後ろにいるエニグマはドラゴンの姿をしている。
初めて見る敵対生物にも感動と興奮を覚える慧は、やはり異常者なのだろう。
魔法陣を展開して魔術を放つ――西の方の超能力に似たようなものがあった。
慧は以前アルファに魔術学というものを教わったことがあり、それを思い出す。
それは掌大の魔法陣を展開して、火種を生み出したり、物を浮かべたり、汚れを落としたりと小規模なものだ。
だが、あのドラゴンの魔法陣の大きさは異常だった。
ただでさえ巨大な体が魔法陣で隠れてしまう程だ。
明らかに規模が違う。
それによって引き起こされる魔術も、火種程度では済まないだろう。
あの空色の巨体と翼は神聖さを感じるが、巨大な魔法陣は禍々しい雰囲気を発している。
そして不意打ちを行う狡猾なドラゴン。
手強い相手なのは間違いない。
「QAQAQAQAQA!」
「〈
魔術発動の瞬間――魔法陣を僅かに狂わせたことで攻撃を逸らすことができた。
禍々しく赤黒い光線は慧がいるすぐ横を掠め、隣のビルまでも貫く。
光線に触れた場所が消滅したように、深い穴があいていた。
穴の内部からは攻撃の残滓と思われる赤黒い電気のようなものが
それが周囲に通電し、建物を破壊していく。
直撃を免れても地を走る雷に打たれる技のようだ。
「破壊力ありすぎだろ……」
あれが自分に直撃コースだったことを考えるとゾッとした。
このドラゴンの推定戦闘力は2700。慧よりも250ほど高い。
明らかに不利だが、戦闘力は絶対的なものではない。
戦い方や相性によっては、戦闘力が低いほうが勝つこともあるのだ。
「あのドラゴンはいつまで上にいるつもりだ……まずは空から引きずり降ろさないと駄目だな」
〈精神汚染〉
人間とエニグマの精神構造はかなり異なっている。
その分接続する難易度が高くなって、さらに汚染するとなると、かなりの時間が必要だ。
戦闘中に精神世界や自我を汚染するのは、格下でなければまず成功しない。
この欠点をどうするのか。
慧は考え抜き、その答えを得ていた。
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