16.選択と覚悟
「さてこの辺りだな」
慧はとある商業区が見渡せる高台へと足を運んでいた。
日本で自分以外に討伐ができなさそうなエニグマを優先的に探していたとき、結構近くにいた眷属級のエニグマが目標だ。
しかし、丁度人気の無くなった商業区には、目標のエニグマが見当たらなかった。
しばらく一人で辺りを探索する。
慧は大晴たちにこの場所は危険だと判断し、連れてきていない。
今のままの大晴では、これからも激化が予想されるエニグマとの戦闘に耐えられないだろう。
慧と大晴は、そのことについて一晩話し合った。
結果大晴はNES所属のエニグマ討伐実戦部隊へ入団を決めた。
大晴が入団する〈ザ・ブレイブ〉は、東京を中心に活動する
そこには大晴と似たような境遇の者も入団しているので大丈夫だろう、という慧の判断だ。
基本的にNESに所属していれば、強すぎるエニグマとの戦闘は起こらない。
各団が討伐可能なエニグマを割り振られ、討伐成功の実績を積み重ねていくことで、団のランクが上がっていく。
〈ザ・ブレイブ〉はランクAの団だ。
これは最大で戦闘力500のエニグマの討伐を依頼されることになる。
大晴の戦闘力は約150で、〈ザ・ブレイブ〉の団長の戦闘力は約250だ。
団の数人で協力すれば十分討伐可能なレベルである。
大晴は実践を通して、強くなることを望んだ。
これからはエニグマの討伐に特化した超能力を会得したいそうだ。
一方、香織と舞佳は神楽家で超能力の基礎を学ぶことになった。
両親と離れて暮らしていた彼女たちは親の無事を確認した後、自分にできることを探していた。
それが
エニグマに対抗できるまで、二人はしばらく神楽家でお世話になる。
「一体どこにいる?」
慧が〈星の記録〉で強力なエニグマの情報を得て向かった先には何もいなかった。
崩れたビル群があるのみで、目的のエニグマは見当たらない。
〈精神感応『
この特殊な精神感応は慧が開発したもので、生物に違和感を与えないほど自然に、相手の精神に接続することができる。
しかし何か精神に対して影響を与える行動を起こすことで、気づかれてしまうという欠点がある。
相手の位置を気づかれずに把握したり、一撃必殺の精神系の能力を発動するのに役立つ能力だ。
だが接続できたのは無数の小動物や作戦行動中と思われる軍人数名のみ。
「かなり広範囲に発動したが……もういないのか?」
「……」
そんな慧の様子をはるか上空で観察するエニグマが一体。
慧がいきなり発動した精神感応『
明らかに慧よりも感知能力が高いことが分かる。
そのエニグマは慧に狙いを定めて、攻撃の準備を開始した。
エニグマの周囲に魔法陣と思われる光が現れる――
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