第110話 汽車に揺られて‥ジェロームたち

汽車に揺られて、小さな個室で外の風景を眺めつつも

仕事の書類整理などもしているナジムに‥のほほんと休憩タイムのジェローム

「どの国で手毬てまりちゃんや有栖ありす姫に追いつけるか」

ジェロームの呟き、手にはブランデー


「そうですね」ナジムはずれた丸眼鏡を直しつつ、書類整理に忙しい

「あとで食事にレストランのある車両へ 今晩の食事のメニューが楽しみだ」

「そうですね」ジェロームの言葉に頷くナジム


「ウイーンの社交界で食べたメニューも良かった」ジェローム

「はいムッシュ・ジェローム様」手を少し止めて朗らかに笑うナジム


「鶏肉のオレンジソース、ジャガイモのポタージュあれもうまかった」

「ラズベリーソースの肉料理、それからエビクリームのコロッケ」

「魚、スズキのムニエル」「オマールエビに蟹クリームのパスタにシーザーサラダ」

「それから、デザートだがチェリーパイに濃厚なチョコケーキ」

「酒は‥‥」そんな話をしているとドアのノック音


「失礼します 国境の街ですので、パスポートを拝見」

制服の男が笑顔を見せて言うのだった。


「ああ、そうか」「はい、こちらです」


「おや、君は女性?」

「はい、そうですね 仕事の都合で男装してます」

その言葉に笑顔が少しひきつるナジム


いまだにパスポートの性別は変更されてないままのナジムまたはナッシュ

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