第107話 汽笛‥乗船‥

港で着て気が鳴り響く 

カモメたちの声や波の音 それから潮騒の香り


「いよいよ出発ね 手毬てまりさん」「はい有栖ありすお姉さま」

見送りに来てくれた婚約者の京矢に子爵たち

「気をつけてね」「遅れるけど僕も行くから」二人の声


繋がるリボン 客船の甲板と港の者達の手に握られている。

それはそれぞれの者達


乗客達と見送りをする者達の手

全ての手に‥


ボオオンン‥汽笛と共に客船は岸から離れて大海へと向かってゆく

シュルり…リボンがそれぞれの手から抜け落ちてゆくのだった。


そうして 少しづつ海へ海へと‥


有栖達はため息をついた後で

「数人の付き添い メイドさん達にお世話係の方 宜しくね」

「はい、お嬢様」

メイド‥その数人の中には あの『からゆきさん』になるはずだった柚葉ゆずは


‥一人が病で行けなくなり、代理として参加したのだ。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る