第81話 砂漠とスエズ運河(一部追加、修正)

客船での出来事としては 東南アジア、インド、砂漠地帯さばくちたいを廻り

商人であり旅人の異国二人組はまったりしていた 貴族で商人のジェロームに使用人であるナジム


甲板の海風が心地良い中で日差し除けのテーブルとイスに座るジェローム


「ジェローム様、お茶ですよ」ナジムが特製のお茶を差し出す


「うん」昨日のバカラで熱中してお疲れ気味のジェローム

人付き合いの上手なジェロームは ちょっとしたパーテイなどで

新規の顧客を増やしてゆく、更に賭け事の勝負で財布もやや暖かい


港での客船の物資等の補給で数日の時間が出来て

当時、第一次大戦前となる

オスマン帝国の支配下にあるイエルサレム近くでの砂漠の小ツアーを楽しむ


「聖地の砂入りの小瓶、土産にもらったもの 絨毯も良かったな」「ですね」


「オスマン帝国の支配も内乱の騒ぎで揺らぎが出てるという話だが・・」

「…数百年続く帝国ですから」ジェロームの言葉に頷きながらナジムが答える

コポコポと紅茶を入れるナジム


「スエズ運河を通過したら、一度船を乗り換えでしたね」「ああ」


「スエズ運河、英国が建設の費用を賄えずに

金融業のユダヤ系のロートシルト(ドイツ語読み、英語はロスチャイルド)が

資金を出したそうだな」


「ええ、そうでしたね、差別される側のユダヤ人でユダヤ教徒の司祭の家系で

男爵の位に議員まで・・」ジェロームの言葉にナジムが微笑む


「本来なら決して、ありえない‥しかもキリスト教徒でもない」


「今なおユダヤ人は差別の対象だ 多くが狭いゲット―(※住まいが限定されていた)に閉じ込められている 暮らしもさほど楽でもない」 


「迫害の一つにペスト(黒死病)、病気を広めた噂で虐殺された事もある

ユダヤ教徒という理由だけで虐殺されてた事も多い」

「そうですね」頷くナジム  ナジムは自分の丸眼鏡のずれを直す


「逃れる術の一つとして改宗した者達も少なくない」ジエローム


「大英帝国より金持ちのロートシルト《ロスチャイルド》金の力、財力が桁外れだ」

ジェローム

「そうですよ‥でも、富を持つ者ならではの悩みも尽きないでしょうね」ナジム


ボオオンン汽笛の音がした

波音や客船の船の揺らぎがして 静かに二人は海を見ていた。



※客船の旅は 伯爵夫人となった光子夫人(EUの父となったリヒャルト光二郎・クーボンホーフの母親の手記を参考にしてます)

※ロスチィルド家はドイツのフランクフルト出身です フランス語ではロチルド

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