第60話 異国のお話 1
有栖たちが 風呂から上がり まだ御話は続いていた。
「まあ、何を話されているのかしら?」有栖が問いかけた。
「素敵な異国の話ばかりだよ ふふ」京矢が微笑して答えた。
「私たちも聞きたいわ」有栖 「はい」手毬
屋敷に戻り
大広間の部屋に集まって ミルクやコーヒー牛乳が何故か皆の手にある
「パリ万博の話でもいかがですか?それとも上海にマカオでも?」ジェローム
「いいですね ジェローム様のように 海外で活躍したいものです」京矢
「・・近場のマカオには行ってはみたいですね」綾小路子爵
「パリ フランスの都のパリは美しい処だそうですね」
「ふふ、そうですよ」ナジム、それにジェロームが頷く
「パリ万博 動く歩道がありました」「動く歩道?」
「アフリカから 象(ぞう)という大きな生き物が来ましたよ」ナジム
「アフリカ出身ですが 北アフリカの砂漠や荒れ地に港町の方しか知らないので
初めてみました」ナジムがコーヒー牛乳を片手にニコニコと笑う
「とても大きかったです 鼻がとても長い 長い鼻を使い食事をとる
ああ、草食の生き物です」
そんな様子のナジムを見て有栖は小さな声で一言
「・・丸眼鏡じゃないナジムさんって案外と綺麗」有栖
「はい、私もそう思います」手毬
「アフリカの港町とは どんな処ですか?」子爵が質問をする
「南イタリアに近いアフリカの港町チュニスになりますが
甘い南国の花にアーモンドの樹 花びらは白く こちらの桜のようです」
「宗教ですが イスラム教徒の国でもありますよ」ナジムが解説中
「青い海は 南国の海なので色合いが違います とても深い青で綺麗ですよ
植物は南国のものです 白黒、モノクロですが写真がありますから」ナジム
「空は夏の空色 白い建物が多く 夏はとても暑く 大変な時期もあります
僕はアラブ系でして 白い肌の者達も売られていますが
奴隷制度がある国へ売られる者達も少いますよ」
「労働力として 黒人 もっと南の地域の黒人たちも売られています」
「僕はジェローム様に買い取られて、南イタリアへまず行きました
北アフリカと南イタリアの中間点にある
フランス領マルタ島(※当時、現在は英国領)で しばらく過ごしました
はちみつ色の城塞都市は美しく見事でしたよ」
「他にはありますか?」「あ、じゃあ フランスの御話を・・」
「石で出来た建物が多いです 人々が憧れる綺麗な街並みです
凱旋門を中心に放射線状に道があります この街並みはナポレオンの甥になる
ナポレオン三世がパリの街を大改造して作りました」
「最初のパリは 尊厳王(オーギュスト)カペー朝のフリップ王が王都と決めて
出来上がりましたよ」「彼はリチャード獅子心王と数度目になる十字軍に参加した王です」
「街には 物売り達も多いです」
「水は飲みやすい水は お金を出して買います」
「パンに果実、魚に牛乳などの食品 新聞を売る物売りの娘や少年
謡う(うた)ように声をかけて それらを売ります」
「暖炉が必需品なので 煙突掃除人も多い」
「それに音楽、アコーディオン弾きの老人 秋には焼き栗売りがいます 美味しい」
「それから ガラス張りの美しい建物」「駅もとても大きな物ですよ」
「一部の駅ですが
駅の名物にマドレーヌという焼き菓子を売る少女達もいます」
「マルシェ(市場) 大きな市場もあります 交通機関も充実しています」
「ブローニュの森に 大きな公園 散策に来る貴族の貴婦人に紳士もいますね」
「散策に馬を使う場合も
馬車の時代は 最近までありましたが まだ、使われていますよ」
「マリーアントワネットのフランス革命の御話は聞いた事があるのですけど
そのオー・・ええと尊厳王がパリを作ったという御話」
「ノン(いいえ)、 尊厳王は それよりも もっと もっと昔の御話
まだ銃や大砲がない時代です」
「ああ、ナポレオン三世の方は
マリー・アントワネットより ずっと後の時代ですね」
「ガラス張りの施設 宮殿も壮麗で綺麗です 郊外のベルサイユ宮殿」
「パリにあるルーブル美術館には
ナポレオン一世が世界中を遠征したときの 多くの遺跡の遺物を集めて
それらを展示しています」
「収集されたものに
ギリシャのロードス島の古代のニケの彫像、アッシリア、ヒッタットの大きな壁の装飾
およそですが建物二階分の大きさですから 驚きです」
「イタリアなどの欧州の名画と呼ばれる絵画」
「英国の美術館も大きく素晴らしい物がありますね」
「夏は九時頃が夕暮れとなります 冬は雲が多く、どんよりとしているので
南欧にニースなどの観光地に行く人達も居ます」ナジム
「パリの緯度は北海道とほぼ同じだと聞いてますね」ナジムが続けての解説
「皆さん ところで‥冬のスポーツですが」
ナジムが質問してきた
「スケートはした事は? それにスキーは?」ナジムがニコニコして聞く
「え?」「スキーは東北の山の方でした事があるよ」「僕も」
知らない有栖と手毬の為に
スキーやスケートの解説をした後で・・今度はアルプスの話などが始まった
21,11,12~11,14
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