第59話 意外な身の上話 欧州とアフリカ
「私の先祖の一人は 南イタリア人ですが 住んでいた場所から
浚われて しばらくの間 奴隷として ガレー船で櫓を漕いでいたのですよ」
ジェロームが微笑みながら話す
「え?」「ガレー船?」
「ジェロームさん?」驚きの表情で 唖然として話を聞く京矢と子爵
二人に微笑みながら、ジェロームは話を続けた。
「古代の時代から風の力があまり使えない温暖な地中海などですが
長く使われてきましたから フランス革命より少し前、その前後かな」ジェローム
何気に日本酒をお猪口で飲んでいる。
「ガレー船は 地中海では外海と違い船の帆があまり使えずに
千年以上前、古代から利用されていました 廃止されたのは 実は近年です」
かなりの重労働で死ぬものも多かった
それに鎖に繋がれて 船が沈めばそのまま死んだ者も多い」
「ヴェネチアなどの商業都市では 職業としてありますから
それはまた、別ですよ」ジェローム
「ただの昔の御話ですよ ふふ」ジェロームは安心させるかの如く笑いかける。
そこで意外な、驚くべき話をナジムが始めたのだった
「・・実は僕は北アフリカ出身で ジェローム様に奴隷市場で買われました」ナジム
「え、ナジムさん?」
「僕は ハーレム用に浚われ 売られた母親が白人だったので
白人のように見えますが
父親はアラブ人です 母は確か東欧かロシア系だったと思います
それとジェローム様に僕用のフランスの国籍を買ってもらいました」ナジム
お盆に乗せて温泉に浮く 日本酒にゆで卵、和菓子のみたらし団子を
ジェロームたちは美味しそうに食べている
「ジェローム様 その団子は僕のです」「いいじゃないか! 一つくらい」
「駄目です」
「北アフリカで助けた恩があるだろう!」涙が浮かぶジェローム
「忘れました・・というか僕がいないと仕事や生活が回らないでしょうが
恩なら 今は僕の方にあるでしょう?」
唖然としている綾小路に京矢
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