第38話 鹿鳴館の舞踏会 始まり

しばらく後の事だった

有栖の家に 店の届け物を持ってきた 手毬(てまり)

手毬(てまり)と有栖(ありす)を見て、山内伯爵 有栖(ありす)の義父は言った


「手毬(てまり)さん」「は、はい」

「今度、鹿鳴館で舞踏会パーテイがあるのだが

どうだろう 有栖(ありす)と一緒に行ってもらえないかな?」山之内伯爵


「まあ、素敵ね 行きましょう 手毬(てまり)さん」

にっこりと笑う有栖(ありす)


「ええ!私のような者がそんな・・」

「大丈夫 そうだね 有栖(ありす)」 「ええ 御父様」


「き・・着て行くものなどありません」赤くなり おずおずと小さくなりながら手毬


「ドレスならあるよ それもサイズも 手毬さんに合わせたものがね」

「!」真っ赤になり 何も言えなくなる 手毬


「心配ないでいいから 行きましょう 約束よ 手毬さん」

赤くなり しばし悩んだ後 小さく頷く 手毬


それから 手毬が帰った後

「お父様 手毬さんが気に入ったのね もしかしたら 私の‥妹になるのかしら?

亡くなった私の双子の妹の代わりになるの」有栖が問いかけた


「そうかもしれないよ 有栖、有栖は嫌かな?」

義父の山之内伯爵が微笑む その笑顔に 有栖も笑顔に


「うふふ いいえ」

「手毬さんは可愛らしくて とても素直でいい子で

それに料理上手なのですわ 毎日美味しいお菓子とかにありつけるわ!」


「‥‥‥・」


「有栖(ありす)」「何でしょうか?」

「有栖・・その、お菓子が目的なのかな?」ちょっと汗する養父 山之内伯爵


「美味しいものは 人生の喜びの一つですわ!

乙女には恋話とドレスと美味なお菓子が必需品なのですわ!」

高らかに宣言する 有栖





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