第32話 乗馬を楽しむ それに会話

「そうだね ふふ」「面白い話は幾つもあるよ」


パーテイが一段落 次には

庭に繋がった小さな森で子爵やジェロームたちは乗馬を楽しんでいる

「さすがですね ジェローム様」「まあね」


「早駆けだよ さあ行くよ」「任せてください 負けませんよ」

柵を超えたりして競争している


「ああ、また 連続ですわね」「まあ すごいわ」

「綾小路子爵もすごい」



有栖や他の貴婦人たちは 乗馬を楽しんでいる彼等や紳士たちを

見物している


「見事なものですわね」「ええ 本当に」


その後で

有栖(ありす)は 綾小路子爵の馬に乗せてもらい 楽しそうに笑っていた


「きゃあ、思っていたよりも とても大きいですわ ああ、どうしょう」

「ゆっくりと歩かせるからしっかり掴んでね」「はい」



手毬は他のメイド達に交じり 飲み物やお菓子などを配っていた


そう、手毬は孤児院でつつましい生活しか知らなかったから


まるで童話に出てきた世界が目の前にあり

不思議な面持ちで それらを眺めて 驚いていた


「・・驚く事ばかりだわ」手毬(てまり)

「ああ、御茶を持ってゆかないと まだ仕事が・・」


お茶をテーブルに置く手毬

「有難う」着飾った婦人が 手毬の運んだお茶を飲む



学校や店の仕事 


それらの数々

手毬にとって 慌ただしくも楽しい時間で

週末には 異国の言葉や料理を習う



有栖も綾小路子爵たちも優しく 

異国趣味に溢れ美しい屋敷で何処か別世界で戯れている感じさえあった


「教わったカレーライスとお菓子はシュークリームです」

おずおずと手毬は自分が作った料理を差し出す


「飲み物もご用意しています」手早くカップなども並べる 手毬

「どうぞ」そっと差し出す


「手毬はますます料理の腕が上がったね」京矢 「料理のお店も出来るかも」有栖(ありす)

 二人は満面な笑みで 手毬(てまり)を見ている


「僕も手毬君に 新しく店を任せてみようかな」京矢


「そ、そんな有難うございます」赤くなって 恥ずかしそうに言葉を否定

「今晩は遅くなったから 泊まってゆくといい」


「じゃあ、そうしよう 手毬君」京矢


「お父様に連絡して、ご許可をもらうわね 楽しいわ うふふ」有栖


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る