第31話 パーテイ会場 手毬(てまり)と・・

客人たちは楽し気に 軽めの酒やお茶 茶菓子を手に歓談を交わしている


パーテイ会場の中、手毬(てまり)は

メイド姿でくるくると コマドリのように動き回っていた


呼び止められる手毬

「手毬ちゃん」「はい子爵様」 すると 切なげに手毬を見る子爵


じっと手毬を見る 綾小路子爵


「僕はね 好きな人がいた」綾小路


「・・・・」

「その人は今では人妻」 「子爵さま・・」


「お金というのは時に残酷だよ お金の為に嫁入りさ

それに彼女は僕より年上だったから どちらにしろ 僕とは縁がなかった」



綾小路子爵の瞳に微かに涙が浮かぶ



静かに手毬は声をかけた

「元気を出されてください」


「手毬ちゃん 君はとても優秀だね」「え・・あの」



「もっと自分に自信を持って 手毬ちゃん」「でも 私は・・」

「外国の絵本とかに興味がある・ 本がとても好きだと聞いている」


「あの、は、はい」


「あの・・」

「興味はとてもあります でも、異国の言葉は・・」


「僕が教えてあげる 有栖ちゃんとも仲がいいだよね

有栖ちゃんも異国の言葉がわかるよ」



「週に一度か二度くらい 僕の屋敷においで

京矢君にも話しておく」



「そ、そんな 宜しいのでしょうか お忙しいのに申し訳ないです」


「大丈夫だよ 手毬ちゃん」

「京矢君や有栖ちゃんも来てくれるように頼んでおくから」


「うん、僕も構わない 異国のお客様も多いし

ああ、それなら せっかくだから こちらの料理も教えて頂けませんか?子爵様」


「そうだね 料理か」「女の子は甘いお菓子とか大好きだから」

「うん 了解だよ」



「本当に 異国の言葉や本に

お料理まで教えていだけるのですか」おずおずと手毬は言う


「あの 嬉しいです」頬が赤い手毬


「もちろん 頑張ってね」綾小路子爵


「ほう・・・」


「ちょっと小耳に挟んだが面白い話をしている

 僕らも遊びに来てもいいかな」ジェローム


「これは ジェローム様 もちろんです」

「ふふん」ご機嫌なジェローム


「日本での旅の御話にパリの話なども聞かせていただければと思います」

にこやかに綾小路子爵は答えた

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