第28話 最高級の日本宿と・・またしても襲撃

外からは 夜風に揺られた葉擦れの音がしている

和風の豪華な温泉宿


そこにいるのはジェロームと御付きのナジム(別名ナッシュ)


ジェロームは赤色かかったくせ毛の髪をタオルで拭く

ナジムの方も自分の黒髪を拭いている 

「ああ、やはり日本の温泉はいい それにあの旅籠も良かった」

くつろぎ 気持ちよさげにジェローム入った


「ですねジェローム様

殿様クラス、つまり最高級の旅籠ですから いいですよね」


「 地方の殿様が毎年 江戸の王さま いえ将軍?に面会の儀式らしく

地方から旅をしてくるので 途中には このような旅館があるそうです

日本の歴史の習慣らしく 分からないですが」

(※参勤交代)



「来月には マダム貞奴と音二郎の公演 うふふ」「良かったですね」

「聞いた話だが マダムは彫刻家のロダン氏のモデルを断っただろうか?」


「さあ・・?」


「今度の綾小路子爵のパーテイも楽しみだ

今度は九州の伊万里などの茶器も仕入れだ」


「はいジェローム様」


「ああ、山之内伯爵 彼とも鹿鳴館のパーテイで知り合ったが」

「これが彼の娘か 写真で仲良く並んで 彼の話だと仲がいい 親子だね」


「花のような美しいありさ譲にも会えるみたいだよ」にやける表情

山之内伯爵にもらった写真


「可愛い異国のお嬢様ですよね でも伯爵令嬢だそうですから」

「私も一応、貴族階級で 商売も順調でちょっとした小金持ちだよ」


「はいはい」やる気なさそうにナジムが答える 自分の丸眼鏡をふく


「お前 真面目に取り合う気はないな」口をへの字に曲げてジェロームが言う

「はいはい」

本気であまり聞いてない おやつにスモモの甘い酒に視線がいっている

白いにごり酒の方にジェロームは手を伸ばす


「もうお休みになられてくださいね」ナジム


「まったく」ジェローム


「月明かりに 星も綺麗だ」「・・・ですね」


そんなときだった

複数の気配、殺気に気がつく


「あ・・・」「またか」

「まだ日本での旅は始まったばかりですが」ため息まじりのナジム


「先日も 東北の蕎麦に鍋を食べる前にも ナッシュ、いやナジム」

「いい運動でしたね ジェローム様」


襲い掛かった 大柄な男達を手早く殴り倒してゆく二人

「寝る前だというのに」「これは夜襲ですね ムッシュ」


「向こうから新手だ」「はいはい」

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