第8話 駅での出来事

「本当に久しぶりだわ 嬉しい」「とても綺麗になったね ありさちゃん」

「まあ、そんな」


「欧州に行った僕の両親にも写真を送らないとね

こんなに素敵に綺麗だから」


「うふふ もう・・」頬を赤くして微笑む有栖


有栖(ありす)と呼ばれた 綺麗なドレスを着た少女は 頬を赤くする



「ん?遠目でよくわからないが、恋人か兄妹かな?仲がいいな」

二人をちらりと見て それから立ち去ろうとする子爵




楽しげに弾む声が聞こえる

そんな様子を見ていると・・「子爵さま ご主人さま」


「ああ ご苦労様 待たせたね」 声をかけてきた迎えの車の運転手に 言葉をかける


「おっと!」 「きゃ!」少女にぶつかる



「すいません 申し訳ありません」


地味な着物の服装、眼鏡の少女 でも なかなかの美少女

どこか想い人に似ている気がする


「君?大丈夫 ごめんね」声をかけた


「あ、いえ、大丈夫です」

なんとはなしに 興味が湧いて 彼女に声をかける


「よかったらお茶でもどうかな?」

「あ、す、すいません・・これからお店の仕事があって・・」


「そう、僕は舞小路 美貴(まいのこうじ みき)」


「私は広崎手毬(てまり)・・といいます」

「手毬ちゃんか」可愛い少女だと 思いながら見つめる



するとそこに


「おい!」一人の男が声をかける

「迎えに来たぞ 店の者だ 君が広崎手毬君だな 

早速だが、仕事が待っているぞ」


「ああ、はい」少女 手毬(てまり)が振り返る




「すいません!私はこれで」バタバタと店の者に連れられて

少女は立ち去った


「あれは・・あの男には見覚えがある 確かあの表通りの店のものか」

「顔なじみになっている店だ ちょうど必要なものもあるし 立ち寄ってみるかな?」


「また 会えそうだ」子爵の顔に軽く笑みが浮かぶ



「おや、先程の林檎の少女だ」「ですね」

「ふふ・・可愛い子だったね」ジェローム 立ち去る少女を見送る二人


「あ、ジェローム様 次の場所に移動しなくては・・」「そうだな」

「我々も行かないと」


二人は駅のホームから 高価なブランド物の大きなバックを持って

その場を立ち去った



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