第3話奴隷商人の事情
(マモルさんも大事な人を亡くしたり大変なことにあわれていたんですね・・・。)
(昔のことだから気にするな。これからは2人で1人になるんだ。マモルでいい。俺もトリンって呼ばせてもらう。)
俺がどうしてトリンの体にいるかと前世でのことを話すとトリンは悲しそうにつぶやいた。俺としては前世のことについては転生してから考えても意味がないことなので考えないようにしている。あいつがこの世界にいるわけでもないからな・・・。
(それでこの後はどうする?村にはまだ20人前後人がいるみたいだが。)
(!、それは村の人が生きているってこと?)
(いや・・・生き残りは・・・いないな。)
(?!・・・そうだよね、そんな・・グス・・都合よく生きてないよね・・)
(・・・)
(復讐をしたいか?)
トリンは俺の言葉を聞くとうつむき気にしていないという風に笑いながら言うが途中で耐えられなくなり泣き出してしまった。俺はその姿を見ながらこの世界ではよくある話だと思いながらトリンに村にいる奴らに復讐がしたいか?と問いかけた。前世で俺も復讐を考え実行したことがあるが終わってみると虚しさしか残らず意味があったのかは分からなかったが復讐も1つの決着だとも思う為トリンが望むなら手伝ってやろうと考えたからだ。
(うん。村の奴らを殺して!)
(分かった。)
俺はそういうと村にいる奴らと村の住人の死体を土に埋めるため腕を上げそのままふりおろした。そうすると山の一部が崩れそのまま村と一緒に騎士風の奴らを全員のみこみ土の下に生き埋めにした。
生命反応を探すが反応はなく全員死んだのを確認するとトリンは狂ったように笑っていた。
「アハハハ!ハハハ・・ハハ・・復讐したはずなのに!村のみんな、母さんの仇をとったはずなのに・・・あーー!あーー!グス」
トリンは笑いながら泣き地面に何回もこぶしを叩きつけていた。
(今は思いっきり泣けばいい。そしたらまた前を向いて歩いて行けるさ。)
それからしばらく泣いていたトリンだが、だんだん落ち着きを取り戻していった。
(もう大丈夫か?)
(うん!・・グス、思いっきり泣いたらスッキリした。ありがとう!)
(それならいい。これからどうす・・!?)
(どうしたの?!)
トリンが落ち着いてきた為これからどうするかを話し合おうと思ったときに急に森の中から強い魔力を感じてその近くで弱っている生命反応がしたため話を中断してそちらに顔を向けた。
(話はあとだ。死にかけているやつがいるすぐにそちらへ急ぐぞ!)
(うん!分かった!)
身体強化の魔法を使い走って反応のした方に行くと馬車が1台ありその近くに何人かのガラが悪そうな死体があった。死体は刀で切られたように真っ二つのものや炎で焼かれたように丸焦げのものがありその内の1つに体を縦に切られているがまだ息をしている人を見つけて体を起こして状況を聞いた。
「何があった?」
「こんなハアハア・・所に子供?」
「そんなことは今はどうでもいい。何があったんだ?」
「ウ!・・いきなり冒険者風の奴らに襲わてハアハア・・奴隷を・・ウ!」
「奴隷?」
詳細を知ろうと思いその男の記憶を読むとその男は孤児院で子供を買いこれから町で奴隷とし売ろうとする帰りの道で襲われたことが分かった。
「お前孤児院で・・。」
「!・・お前も俺を悪人だと思うか?」
「いや、孤児院でお金を払って買ったんだ。ちゃんとした取引だ。お前は悪人じゃなく商人だ。」
「!・・そんなこと言うやつは・・お前ぐらいだなハアハア・・俺はもう駄目だ。お前に1つ頼みがあるハアハア・・娘と妻を頼めるか?ハアハア」
「分かった。任せろ。あとはゆっくり休んでくれ。」
「すまない・・ありがとう・・・」
男は感謝を口にすると目を閉じそのまま動かなくなった。
(あの人奴隷商人だったから最初は悪い人だと思ったけど記憶を見るとその人にも人生があったんだね、孤児院で子供を買うのは犯罪だけど。・・)
(孤児院でお金を払い子供を買った、犯罪だがそうしないと奴隷商人も生活が出来ない。また孤児院も売らないと他の子どもを守れないからな。今回子供を助けたやつは確かに正義なのかもしれないが悪役の視点からも考えていなかった。)
いや、この世界には正義も悪もないのかもしれない。どちらの面も精一杯生きているのだから。そう思いながらその男以外の死体を魔法で地面に穴をあけそこに埋めて、男には腐らないように魔法をかけ俺はその男を背負い記憶にあったその男の家に歩き始めた。
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