第2話プロローグ後編

俺の名前は梶谷守。今年で25歳になる。スパイとしていろいろな国に行き国の為に働いていたつもりでいた。そんな俺が今同じ仲間だと思っていた、中村翔ナカムラカケルに銃で撃たれて死にかけている。


「何で・・・俺を撃った?」


「お前が二重スパイとして他の国に情報を売ったからだろ!佐藤さんに聞いたんだ!仲間だと思っていたのに!」


「何を・・・言って?佐藤さんに?はっ!・・・あははは・・そんな事信じたのか。は、は、は、はは。俺はお前の事信じていたのに・・・。正義の味方か。」


俺はカケルのことを親友だと思っていた、自分が正しいという事に疑いを持たず正義に向かって前だけを向いて走っていく、そんな奴だった。だからこそ俺のことを邪魔だと思っていた先輩の佐藤に騙されていたのか。でも、直接聞かないか?ああ、分かっているさ、俺は普段から一人で仕事をして卑怯なことばかりやっていた悪役だったからな。それでいつも中村と衝突していた。だからこそ決定的に悪だと思った証言が出たときに決めつけたんだ!俺が悪役だと!俺の生まれも関係するだろう。悪徳政治家の秘書をしていた父が当時俺が10歳の時に横領の罪で掴まりその後俺たち家族は世間からつまはじきにされた。女手一つで育てた俺の母親も俺が15歳の時に過労で死に。そこからは悲惨だった。親戚に預けられたがそこで虐待され学校でも虐められた。父親も獄中で死んでいたことも母親の遺書によって知り俺はその時からずっと一人で頑張っていた。こんなに苦しんでいるのに正義の味方は何もしてくれない。父親も悪だったが、それよりも上の悪は今でものうのうと生きている。正義の味方って何だ?何のために居る?そんな中途半端な存在ならいない方がいい!俺がすべての悪を支配すればいい!悪役にも悪役の正義がある。だからこそ俺は悪役の味方になる!


俺は最後に中村を睨むと意識がゆっくりと暗転していく。


次に目が覚めると俺は真っ白な空間の中にいた。俺はついさっきまで会議室に居たのに腹に空いた銃創もないし痛くもない。どういうことだ。


「それはここが神界だからさ!」


子供が手を広げてようこそ!という感じで笑顔を向ける。よく見ると背中には羽が生えておりまた俺は声に出していないのに答えている。


「それはまあ僕が神様だかね!」


と偉そうに胸をそらす。


「で、なんでその神様が俺をここに呼んだ?」


「それは君が面白そうだから。まあ、あとはやっているんだ。人間を転生させるの。神の間で一大ブームだよ!前のブームは天変地異だよ!」


「なんか前のブームは迷惑だな。それで俺はこの後どうなるんだ?目的は?」


「最初に言ったように異世界で転生してもらうよ!今の流行りに合わせて転生特典も付けてあげる。今まで転生させたことないから僕は転生させるのは始めただから、サービスするね!」


「それで俺はそこで何をしたらいいんだ?」


「それは君が死ぬ前に思っていた、悪役の味方だよ!今まで他の神が転生させた人たちはみんな若く正義の味方ばかりだったからね!一人ぐらい悪役の味方がいてもいいと思って。」


「分かった。俺も次の人生はそうしようと思っていたからな。で、転生特典は何があるんだ?」


俺が問いかけると神はニヤリと笑うと


「ヒ・ミ・ツ!でも使い方なんかは転生した時には頭の中にあるから大丈夫だよ!じゃ、楽しんできてね。僕の名前はミール!よろしくね!」


「ちょっと待て!全然説明になってないぞ!」


俺がもう少し説明しろと言おうとするといきなり足元の床が消えて俺はそのまま落ちていく。


「あああああああ!」


「じゃあね!楽しみにしてるよ!」


最後に手を振りながらこちらにそういう神を最後に俺はまた意識がなくなった。

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