悪役の味方
@kunta523
第1話プロローグ前編
「はあ、はあ、はあ」
僕は今暗闇の森の中お母さんと一緒に走っている。後ろからは5人の屈強な男たちが走って追ってくる。
「頑張って、走って、逃げて!お母さんがあいつらを食い止めるから!」
とお母さんが走るのを止め木の棒を持って立ち止まる。
「でも、お母さんを置いて行けないよ!」
「お母さんはいいから!早く逃げなさい!」
僕が躊躇しているうちに僕たちを追いかけてきていた男たちがにやにやしながら追いついてきた。
「おいおい。泣けてくるね~。感動のお別れってやつかい!」
「あははは!やめてやれよ。向こうは本気なんだぜ。あははは!」
5人の男たちが笑う、お母さんが棒で戦おうとするがすぐに男の1人が剣ではじいてどこかに飛ばされてしまう。
「わりぃがお前らにはここで死んでもらう。」
「なんでいきなり村を襲うのよ!」
「このオルテクサー帝国にこの前勇者が召喚されたのは知ってるか?そこの皇帝が勇者を使って
隣国のトリアム王国と戦争をして国を広げたいらしい、その大義名分ってやつさ。」
「そんなことの為に襲ったの!」
とお母さんは怒鳴るが男たちは笑いながら
「皇帝にとっては大事みたいでな。俺らも大金もらえるしどちらも利益があるってことよ。まあお前らは運が悪かったな。悪く思うなよ。」
とリーダー格の男が剣を振り上げお母さんが僕を庇うように前に立つ。お母さんから勢いよく血がでてゆっくりと倒れる。
「お母さん!」
僕はお母さんに近づき手を掴む。そうするとお母さんはこちらを向き笑顔で僕の顔に手を持っていくと
「あなただけでも・・・生きて。愛しているわ」
と言って目を閉じお母さんの手がゆっくりと地面に落ちる。
なんでこんなことになっちゃったんだろう。今日は僕の10歳の誕生日で朝は気分よく起き村のみんなからお祝いを言われながら楽しく過ごしていた。村といっても30人もいないような村だがそれでも僕は楽しく日々を過ごしていた。友達と遊んだり、家の手伝いしたりとお母さんやお父さんに怒られたり友達と喧嘩したこともあったかな。あはは、それが何で急に騎士みたいな人が来て村のみんなが殺されていきお父さんは僕とお母さんを逃がすために殺され友達も気になっていた子も殺されそしてお母さんも今殺された。
(もう生きていてもしょうがないよね)
僕が心の中で思うと
(ほんとにそれでいいのか。悔しくないのか。)
どこからか冷たい声でそう問いかけてくる。
(誰!僕に声をかけるのは誰?)
(そんなことは今はどうでもいい。悔しくないのかと聞いているんだ。)
(僕だって悔しいよ!よくわからない理由で殺されるなんて!正義の味方だと思っていた勇者様が理由で殺されるなんて!)
(だったらあらがえばいい。)
(そんなこと無理だよ!こんな非力な僕に何が出来るのさ!)
(だったら俺も力を貸してやるって言っても貰い物だがな。)
(どういうこと?)
(俺はお前の中にいるもう一つの魂だ。こことは別の世界で生きていたんだがそこで死んで、この世界のお前の体に入った。その前に神からいろいろな特典をもらってな。だから俺にはこの状況を打開することができる。どうする?)
(僕は…生きたい!だから力を貸して!)
(分かった。任せろ。お前の名前は?)
(僕はトリン!あなたは?)
(俺は梶谷守カジヤマモル、マモルでいい。)
(よろしく。)
(ああ。それじゃあ、ここからは俺に任せろ。)
(うん!おねがいね。)
俺は自分の体を確かめるように手を何回か握ったり閉じたりを繰り返す。そして騎士風の男たちを睨んで手を前に出して閉じる。
「死ね。」
「なんだ急にこい・・あばろぼ!」
急に男の一人が体が押しつぶされるように圧迫され爆発し辺りに血を撒き散らす。その光景を信じれれない表情で残った4人が見て慌てて武器をさっきまで怯えて震えていた子供に構える。
「お前何しやがった?」
「黙れ。」
と手を横に振る。
「おい!なんとかいいやが・・え!」
急に男の顔が切れて細切れになる。
「こいつ魔法を使いやがった。魔法使えたのか?しかも無詠唱で!」
「だから黙れと言っている。」
というと次は手から炎を出して残り3人のうち2人を燃えカスにすると残りの1人が剣を持ってマモルに切りかかるがマモルは指で剣を挟みそのまま折る。すると男は尻餅をつき後ろに逃げようとしており顔を向けて一歩近づく。
「化け物が・・・」
「ああ。お前らが作ったな。」
といい手から電撃を出し最後の一人も燃えカスにする。
「まだ村に何人かいるな。」
というとマモルは空を見上げた。
はたしてこれからこの2人はどういう歴史を作るのか?
正義の味方か?それとも悪魔になるのか?
それはまだ誰にも分らないことである。
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