18

 デュークは舌打ちした。

 ――気付いたか。

 先ほどデュークが放った弾丸は、あとわずかというところで避けられてしまった。命中精度の高いこの銃なら、たとえ左腕でもほとんど問題なく命中させられたのに。相手が動くのがあと、一瞬でも遅ければ。


 デュークには、ロックウッドが血の跡を頼りに攻撃してくるのは読めていた。だからデュークは走って逃げるふりをしているときは、めいっぱい右腕を伸ばして狙いが外れるように仕向けた。

 そして、頃合いを見てハンカチで止血をした。止血はすぐにでもできた。だがデュークがあえてしなかったのは、ロックウッドたちの油断を誘うためだった。

 実際その狙いは上手く行っていた。あと一歩というところまで。


 デュークは考えを巡らせた。

 余計なことをしてくれたのはロックウッドの方だろう。撃ってきたのもそいつだった。確かロックウッドは早撃ちが得意だった。ということは小太りがロックウッドか。一瞬の火花を目印に当ててくるなんてなんて奴だ。

 そして、逃げるよう促したということは細身がランドン。おそらく、さっき俺が殺したのはランドンが変身させた別人――。


 しかし、いつまでも悔しがっていても仕方がない。

 デュークは走り出したロックウッドとランドンの後を追った。

 焦ることは無い。攻守は逆転した。




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