第33話 いらすとれーたー

「みんなの絵が見たい」


『こんばんは~』

『また配信始まった』

『こんばんは!』

『さっきぶりです』

『挨拶は?』

『こんばんは』

『配信始まってる!?』

『ツイッターにあげました!』


「挨拶ね、こほんっ! こんにちは、世界一大人気のイラストレーター、黄金みかんちゃんだよ♪ もっちろん、みんなは私のこと知ってるよねぇ? おとこのこもおんなのこもー、皆ぁ、みかんちゃんをすこってねぇ♪ おっけー! でね、えっと……がり? がー……がーてぃっくふぉん? っていうの、やろう!」


『最近いろんな人やってるよね』

『これおもろいよ。友達いれば』

『前もVの間で絵しりとりやってるのいなかった?』

『これはお題決めにセンスいる』

『参加型?』

『スマホだから無理だぁ……』

『これは絵しりとりじゃなくて、伝言ゲームだぞ』

『やろうじゃないがww』


「まあ、私はね? あれだからね。要望に応えるのがお仕事だから、描くのはいいけど、察し力がね、不安っていったところだね」


『なるほど?』

『それはそうね』

『そんな甘くない』

『下手な絵って描けるの?』

『時間制限つけると、結構焦って面白いですよ!』

『モード変えるといろいろできる』

『察し力って備わってる奴いる?』

『やりましょう!』


「そだね! 早速やろっか? ちょっとまってね~」


 名前うって、と。


「じゃあ、招待するね? コメントにURLのせたよ! 良かったらはいって? ダウンロードいらないからすぐできるよ!」


『これアプリじゃないんか』

『入れました!』

『人数は14のまま?』

『これ簡単に始められるって詐欺だぞ? 招待ないと人数集まらないし』

『今更だけど、この配信って結構な人見てるんだな』

『絵が下手でもいいですか?』

『もう埋まってるし……』


「わ、もうきてくれたの? ありがと! じゃあ、えっと、どれがいいかな? とりあえず標準でやろっか! お題が出ると思うんだけど、最初はそのままだと嬉しいな! じゃあ、開始! 私のお題見ないようにね? あと、聞かないように!」


 お題が映し出される。

 『木彫りのサンタクロース』だって。


「まだ聞いちゃってるかもしれないから、このお題は読まないでおくね。このまま完了、っと」


 この時に最初のお題を変更したりもできるみたい。

 次からは変えたい。


「私が描くのは……『観覧車で吐いてるボディビルダー』だって! 変なお題だね、えっと……んー、どうしようかな? 余計なもの書いちゃ伝わらないから、背中さすってる女の子とかも描けないし……ボディビルダーの人が吐いてるところって想像つかないね?」


 あんまりコメントは見ない。

 こういうのは、答え書いちゃってる人がいるかもだし。

 絵だと手を抜くわけにもね。


「んー、ボディビルダーの人なら、タンクトップのイメージ? ただ筋肉もりもりの人だと、ボディビルダーってわかんないかな? ボディビルダーの人って大会とかあるんだよね? じゃあ、ベルト?巻いとけばわかるかな?」


 ボディビルダーさんって何してるんだろ?

 一番簡単に思いつくのはプロテインだけど、文字書いちゃだめだし、ただのかんかんを持たすことになっちゃう?

 あとは、鉄球?

 持たせればいいのかな?


「とりあえず、観覧車はこれでいいかな? わかるよね? じゃあ、ボディビルダーさんっと。ベルトのメダルは……こんな感じ? 1って書いとけばいいかな? あとは、鉄球とプロテイン持たせて……はい、キラキラ~」


 完了っと。


「どうだった? コメントは、見れないけど……Twitterとかでもコメントしてくれれば見るよ! 出来れば送ってくれるとうれしいな!」


 次は、絵が映し出される。

 今回は、ピクルスおひたしさんが描いた絵みたい。


「あっ! わかるわかる!! 上手だね、おひたしさん! タコとクラゲだね! デフォルメされててかわいい!」


 タコというか、たこさんが、クラゲを頭に乗せてる。

 それぞれ赤と水色で描かれていて、一目でわかった。


「ぼうし……? それとも食べてるのかな? んー、クラゲの触手あるし……食べてるのかな。じゃあ、タコを食べてるクラゲ、っと。完了!」


 右上の時計が一周するのを待つ。

 絵を描くときも答えをうつときも、時間制限があるみたい。

 時間かかり過ぎちゃうもんね。


「おひたしさん上手だったよね~。絵本とかでありそうだった! 次は~、絵を描く方だね! お題は……『道路で踊るヒッチハイカー』? ヒッチハイカーって、あれだよね。どこどこまで乗せてってーってやつ。んー、今回も結構簡単だね! まずは……道路描いて、止まれって描けばわかるかな? あとは、あの……標識とか。んー、簡単に、こんな感じ! こんな標識あったっけ? まあ、棒に丸描いておけばわかるよね! それで、踊ってる……踊ってるのが難しいかも? んー、逆に関節なくして、ふにゃふにゃの手足にしておけばわかるかな? 片手にスケッチブックと、リュックもいるかな? よし、こんな感じ!」


 楽しいけど……やっぱりコメント見れないのつらい……

 ……あれ?


「今更だけど、コメント見ても問題なくない? だって、一緒にやってる人のお題は、みんな見えないもんね?」


『ようやく気付いた……』

『でも、ほんとに見てなかったことは証明されましたね!』

『もっと早く気づけw』

『やっぱりこういうのも上手なんですね』

『今更だけど、ボディビルダーがもってるのは鉄アレイじゃない? 鉄球投げの選手じゃないんだから』

『ヒッチハイカーは外国人のイメージ持ってる人多そうだから、金髪とかだと分かりやすいかも?』

『さっきのボディビルダーもすごい分かった!』

『なんで人間やめさせたの……?』


「あ、それそれ! 鉄アレイ! そっかぁ、そういうのあったね!」

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