母
@toumorokosi-cha
第1話
とある親子の話。
「お父さん!GWにキャンプ行きたい!」
息子はお父さんにお願いをした。
普段朝早くに仕事へ行きクタクタになるまで働いて、家に帰ってくるのは夜遅く。
本音を言えば休日くらいは休みたい。
しかし最近は遊ぶことはおろかまともに話を聞いてやることも数少なかった。
「よし!久しぶりに男旅と行くか!」
*
お父さんが運転する車に乗り2人はキャンプへと向かった。
トランクにはテントや寝袋、バーベーキュセットに加え高揚感と希望も積まれていた。
「最近、学校はどうだ?楽しいか?」
「うん。楽しいよ!」
「まさか勉強ばっかしてるんじゃないだろうな?」
「あはは、お父さんそこは「ちゃんと勉強してるか?」でしょ」
「そうか!?」
車中、2人は会話を弾ませていた。
誰が見ても幸せな時間であり平和そのものであった。
横から大きなトラックが現れるまでは。
キキーーッ!!!
急いでハンドルをきるも気づいた頃にはよけきれる距離ではなかった。
ガシャーンッ!!
信号無視をしたトラックが親子2人の乗った車に横から猛スピードで突っ込んできたのだった。
普通自動車と大型トラックでは力の差は歴然であった。
つい先程までの幸せな親子の様子は嵐のように去っていき、残されたのは血の海だけだった。
お父さんは即死。
息子は命は取り留めたものの重体。
生死を彷徨う危険な状態だった。そして緊急手術となった。
*
彼を担当するのは某有名大学病院の医院長。
冷静沈着。威風凛然。銀縁のメガネがよく似合う名の知れた名医であった。
だが手術直前、自分には彼を手術することはできないと言った。なぜなら
「彼は息子だから」と。
母 @toumorokosi-cha
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