第2話 マスクは味方?それとも憎いヤツ!?

 

 こんにちは。

 コロナ禍もなかなか収まらず、大変な思いをしている方も多いかと思います。

 様々なイベントも自粛ムードで、ストレスは溜まっていく一方ですね。



 さて、今回のテーマは『マスク』です。


 みなさんご存知の、この『マスク』。

 果たして“コイツ”は薬剤師の味方だと思いますか?



 しょーじきに言います。

 !!(個人の感想です)



 もちろん、感染対策の必需品としてこのマスクというのは広く使用されていますよね。

 皆さんの場合だと、コロナの影響で様々なお店から異世界転移レベルで消え去ったという話題は記憶に新しいかも知れません。


 そしてこのマスク不足で困るグループの代表の一つとして挙げられるのが、医療従事者たち。

 つまり、感染をさせる側にならないように気を付けなくてはイケない職業人たちなのです。

(院内感染や感染源になるとかなり白い目で見られる)



 念のため、これを読んでくださっている貴方にお訊ねします。

 我々薬剤師を含め、医療や福祉に関わる者はマスクをしているイメージはありますでしょうか?


 医師や看護師等によっては『顔が見えない相手より、顔が見えた方が安心感があるよね』という接遇せつぐう的な意味もあって、えて使用しないパターンもあります。

 しかし、大抵はマスクを着用して仕事をしている姿をご想像されるかと思います。



 実際に感染の原因となる菌などを、口や鼻から侵入するのを防御する為にはと言われているので、仕事中も使用しているのが一般的かとは思います。

(実際の感染防御の研究データについてはこの話では触れません)



 ……して。

 このマスク君。


 した事がある方が多いと思うのでお分かりでしょうが、扱いがヒジョーになのです!!



 ぶっちゃけて言っちゃえばしたくは無い!



 理由その一。

 まず口を塞ぐことで息が苦しい!!


 あ、ここまで読んで「くだらないエッセイ開いちまった」と思いましたね?

 まぁ息苦しいのは至極当然。当たり前の話なんですけどね。


 だがこれが私にとっては結構な死活問題。

 とにかく、メガネが曇る。

 人間が暗闇では身動きが取れないのと同じように、仕事中に目が見えないのではお話にならんのです。

 さすがにテキトーに薬を取ってお渡ししている訳ではありせんので。


「じゃあ、コンタクトレンズをすれば良いじゃない」


 えぇ、そう思うのは当然。

 コンタクトレンズを利用している薬剤師も相当数居るでしょう。


 しかし薬剤師一人当たりに一日でさばける処方件数が法律で決まってるとはいえ(たぶんコレは知らない方も多い)、膨大な数の錠剤、粉、書類、人々etcを短時間で処理するのです。

 目薬をしても点しても、とにかく目が乾く。

 そして何よりも疲れる。


 結果、メガネを愛用することになり、マスクで視界が曇る。

 これがマスクが憎い理由の一つ目というワケなのです。




 理由ふたつめ。

 マスク自体が衛生的と


「また何を言ってんだコイツ?」


 今度はそうお思いになりました?

 まぁまぁ、落ち着いて。


『衛生的』


 この言葉。

 どの程度まで、どう捉えるかで意味がだいぶ変わってくるのです。



『“完全に”衛生的』


 これは私的に極論を言ってしまえば、完全な無菌状態。

 さらに言えば無生物、空気もない、物質さえも何もない。

 そんな環境だと思っています。


 フィクションなどで『無菌室』というワードが出ることがありますが、無菌状態の空間を作るというのは本来、厳密で緻密な設備が無いと不可能なのです。


 だって、菌やウイルスたちは目に見えませんからね。

 そんな簡単に無菌な状態なのかなんて確認できない。


 そう。

 今、私たちが闘っているのはまさに『目に見えない相手』なのです。



 要するに、いくら『衛生的な設備で、手間をかけてパッケージされた凄いマスク君』でも、私たちに箱や袋から出して装着された時点でもう既に不衛生になってしまいます。


 どこにいるかも分からぬ菌やウイルスが付着したモノを身につけていたら、それは最早もはやちょっと上等な服と一緒である言ってしまっても過言ではないでしょう。



 なので医療従事者というのは、基本的にという認識を持っています。

『いくら清潔な白衣を身につけ、どれだけ手指消毒をし、マスクをし、手袋などのアイテムを装着しても、清潔であると思い込んではならぬ』と学校や職場で叩き込まれるのです。


 ある国では『左手は不浄なモノとして扱う』といった話もあります。

 恐らくあれも『感染対策として、不用意に触れない』ということを経験則的に学んでいたのもあるのでしょう。


 それに近いように『必要以上にモノには触れない』、『何か行為をしたら洗浄か交換する』という意識をもって医療をしなければならないのです。


 ……そしてそうすると、どうなるかというと。


「花粉症つらいなー。鼻をかみたいな」

「暑い、ちょっと汗を拭きたいな」

「疲れたし少し水分補給をしようかな」


マスク君『どんと、たっち、みー』



 共感していただけますでしょうか、この面倒さ。

 マスクをずらしたり、あごに掛けたり、ポケットに入れたりといった何気ない行為。


 これら全部がアウトなのですよ。

 なんたって、


 マスクに菌が居るかもしれないし、手にウイルスが付着しているかもしれない。

 うっかり触ってから患者さんたちに接触してしまったら……

 そしてそれがキッカケでコロナなどの感染症になってしまったら……?


 とても怖いですよね。

 結論というか、最初にも述べましたが。

 マスクというのはちゃんとした扱いをしようとするとシビアでデリケートなのです。


「医療や福祉関係者はこまけぇことで苦労してんだな」


 少しでもそう御理解いただけていたら、とても嬉しいです。




 そして最後までこの話を読んでくださった読者様。

 世界中でコロナ禍で騒がれている地球に棲んでいる貴方。

 ちょっとでもマスクを使って感染を防げていると思っている私たち……



 ――果たして無関係なお話だったでしょうか?



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