3話
今さらではあるが、我が『
というか特に力を入れて説明する必要もないくらい平凡な普通高校……それが我が向陽高校である。
男女共学で、偏差値も普通、一応進学校ではあるが就職や専門学校に進む卒業生も多い、ただ駅からのアクセスは良いのでそれなりに人気もある……という地方の高校である。生徒数も今時には珍しく学校全体で600名ほどとかなり多い。
俺は本当はサッカー部の強い『
ただそれもそこまで強い想いがあったわけではない。高校生活ではサッカーを頑張る!と決めた俺だったが、サッカー選手を目指せるほどのレベルにないことはとっくに理解していた。他に何か興味のあることもないので、高校生活くらいは好きなサッカーをとりあえず頑張ろう……という程度のものだ。大人になってからどんな仕事をするかは大学に行ってゆっくり考えればいいのである。
まあとにかくごく普通の高校、それがこの向陽高校と思ってもらって構わないだろう。
太一とは中学の時からクラスが一緒だった。
なぜ俺と太一が仲良くなれたかは良く分からない。最初に述べた通り太一はほとんど誰に対しても最小限のコミュニケーションしか取らないのだが、なぜか俺に対しては徐々に話し心を開くようになってくれたのだった。
気になって「お前なんで俺と友達になろうと思ったの?」と聞いてみたことがあるが、その時の答えは「食べ物くれたから良いヤツなんだ、と思ってさ!」というふざけたものだった。結局よく分からないが、何となくウマが合う……と直感的に判断してくれたのだろうと今は思っている。
太一のような頭脳明晰な人間がなぜ向陽高校という至って平凡な高校を選んだのかというと、何も数少ない友達である俺を追ってきた……というわけではない。一見弱々しく見えるかもしれないが、太一はそんなにヤワな人間ではない。芯の部分では俺なんかとは比べ物にならないくらい強い人間だ。
太一は中学3年の頃あまり登校してこなかったのだ。そのために進学校には進むことが出来ず、向陽高校を選ばざるを得なかった……というのが正解である。しかしその理由もいじめによる不登校だとか、入院による長期の病欠だとかではない。太一は至って健康で風邪をひいているのも見たことがない。
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