5.彼女の本心
私はしばらく立ち尽くしていた。
身体が金縛りにあっているかのように思い通りに動かない。
ふと、空を見上げた。どんよりとした黒い雲。
今にも雨雫が垂れてきても何らおかしくない黒く濁った雲。
まるで、今の私の心の中を見透かされているようで何だか少し恥ずかしい。
「はあ……」
こんなに大きな溜息をついたのはいつぶりだろう。
明日学校で聞いてみようかな。なんで私のことをあんなに拒絶してたの? って。
私、日方が怒るようなことしたかな……。
やっぱり私が悪いのかな?
ビンタのせいかな?
でもしょうがないじゃない。
「彼氏がいたら他の男子とは遊んじゃいけないわけ?」
「私にはどっちかなんて選べない」
自分のポケットからスマホを取り出して時間を確認してみると、彼との待ち合わせ時間まで残り一〇分と少しだった。
これ以上くよくよしていても何も始まらない。
「よしっ」
自分に一発活を入れ、彼との待ち合わせ場所まで走って向かった。
× × ×
「はあ……」
今日はやたらと疲れる一日だった。
俺は今、二階にある自室の勉強机の椅子に座り込んでいる。
決してこんな心理状態で勉強をしようとしているわけじゃない。
どうしよっかなー。これ以上考えてもどうしようもないしな。動かざること山の如し。
よし、もうこの件については一旦忘れて風呂に入ろっと。
ここで風呂についての豆知識を紹介したいと思います。
お風呂は寝る一時間半前までに済ませておくといいらしいです。湯船にも必ず浸かりましょう。これにもコツがあります。
湯船に浸かる時は、肩まで浸かるのを五分。その後に肩を出して一〇分間浸かるのがベスト。確か湯船に浸かった後は、冷水を浴びるのも良かった気がする。
そして、もしも寝る一時間半前までに風呂に入るのが難しいって人は、寝る五分前に足湯をするだけでもいいらしいです。
まあでも諸説があるらしいので実践するかしないかはあなた次第です。では、私も風呂に入るとしましょう。
「おふろっ、おふろっ、おーふーろー♪」
風呂に入ろうと自室のドアを開けて、一階に降りようとした瞬間、俺のスマホが鳴った。
「ん? なんだ?」
スマホの画面を確認してみると、そこには『
……。いや、まさかね。あんなことが起こったあとに電話なんて普通かけてこないよね。
「ついに私は、幻覚が、見えるようになってしまった」
ということで、これはおそらく違う人ですね。
どうしよっかなー。まあ、もうなんでもいいや。とりあえず電話に出るか。
そうだ。あの言葉を言ってみよう……一度言ってみたかったんだよね。
『もしも……』
あれ? この声、あいつの声……。
「今何時だと思ってんだよ!?」
ブチッ。ツー、ツー、ツー。
言ってしまったー。しかも、言うだけ言って自分から電話を切ってしまった。
ちなみに、「もしもし」は申します、申しますというのが短縮された言葉らしい。
「はあー……」
俺は今日二度目の大きな溜息をついた。
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二作目連載作品
『いじめられていた私がJKデビューをしたら同じクラスの男の子から告白された件。でも、ごめんね。』
https://kakuyomu.jp/works/16817330654542983839
↑こちらも是非ともよろしくお願いいたします。
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