3.疑惑
「……」
俺は、それが
「お? 茅野! お前なんでここにいんの?」とは言わなかった。だってそれが見間違えの可能性だってあるじゃん。
それに正直、ここに茅野がいる理由が分からない。
だって、あいつの最寄り駅ここじゃないと思う。まあ、直接確認したことはないけど。
それに、俺の学校にこの地域から通っている奴がいることは想像しずらい。
他学年ならうちの体操服や制服を着てるやつをちらほら見かけたことはあるけどね。
でも、少なくとも俺が顔を知っている同学年で、同じ電車に乗っている奴は見たことがない。
ましてや茅野が同じ電車に乗っていて気付かないわけがない。
「おーい
突然ですが、皆さんは「幽霊」を信じますか? 僕は信じません。幽霊というのは一種の幻覚だと僕は思います。例を挙げてみよう。
僕の友達でおばあちゃんが亡くなった人がいました。その友達はその夜から『おばあちゃんの幽霊が見えるようになった』と言っていました。
「無視すんなし。もういいわ、私からあなたのとこ行くから」
今思えば、これは彼の「幻覚」だったのと思う。彼が彼の死んだおばあちゃんを見たいと思ったからこそ彼の脳が勝手におばあちゃんの幻覚を見せていただけであって、実際にはそんなおばあちゃんの幽霊はいなかったのだと思う。
だから、他の人にはそんな幽霊は見えなかった。だって、彼が勝手に彼の脳内で創り出しただけに過ぎない、本当はもう存在しない彼の想像上の空虚な産物だったから。
まあ簡単にいえば幽霊というのは、あなたの願望を叶えるためだけに生まれた、周りの人からは既に観測することの出来ない、あなたの「妄想」があなたにだけ観測することができるようになった人型の物体ということだ。
「いつまでこの人突っ立ってるんだろう……。もうそろそろ現実の世界に戻してあげたほうがいいのかな? でも、この顔面白いし、もう少し彼を呼び起こさないでみようかしら」
妄想っていう意味で考えると、寝ている時に見る「夢」と似ているかもしれない。
夢もたまに自分の叶えたいように想像したりすることができるうえに、他の人ではあなたの夢は見ることができない。
それでそれが夢って気付かない時もあったりするし、なかったりもする。
自分の夢は他人には見れないという点だけに関して言うと、科学技術が発達すれば人の夢に入ることだっていずれは可能になるだろう。
まあ論点に戻ると、「幽霊≒自分にだけ見えるようになった、自分の想像上の空虚な産物」ということです。これはあくまでも個人の見解です、っと。
その瞬間、俺の頬に今まで感じたことの無い激痛が走った。
「いっっだ!?」
「あなたいつまで黄昏てるわけ?」
「今別に夕暮れ時じゃないんですけど?あと、なんでここに茅野がいるの?」
「……。あー、ここで遊んでるの友達と」
「ふーん、あっそ。じゃあ」
彼女の一瞬の沈黙で分かった、決して友達と遊んでるわけではないことを。だって、妙な沈黙があったし。
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二作目連載作品
『いじめられていた私がJKデビューをしたら同じクラスの男の子から告白された件。でも、ごめんね。』
https://kakuyomu.jp/works/16817330654542983839
↑こちらも是非ともよろしくお願いいたします。
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