放課後の体育館 2
俺には中学の頃から付き合っている彼女がいた。高校は別々になったが、気持ちは冷めず、連絡もまめにとっていたので、変わらず付き合っていけると思っていた。だが、その考えはすぐに崩れることになった。
高校に入って少し経ってから、俺の彼女と同じ高校に通っている友達からある画像が送られてきた。そこには彼女が俺ではない別の男と二人で街中を歩いている姿が写っていた。しかも相手の男というのが、俺たちと同じ中学出身のイケメンで有名な男だった。直接面識はないが、女子がよく騒いでいたのを覚えている。画像と共に添えられた文章には〈別れたのか?〉と書いてあった。いまいち要領を得ない俺はその友達に詳しい説明を求めた。
話によると、学校で彼女と画像に写っている男が付き合っているという噂が、その画像と一緒に流れているらしい。そこで、俺と彼女の関係を知っている友達が俺に連絡してきたのだ。もちろん、彼女からは何も聞かされていない。
画像を見る限り、友達と遊んでいるだけともとれるし、話を聞いただけでは判断が出来なかった。彼女本人に聞いてみようか迷ったが、少ない情報で聞く勇気もなく、追加で友達に調べてもらうことにした。すると後日、似たような画像が何枚か送られてきた。決定的なものはなかったが、裏付けるには十分だった。
浮気の線引きなんて知らないが、俺からすればすでに浮気という認識だった。現に俺は大きなショックを受けた。学校で噂になっていることを俺が何も知らないと思っているのか、その話題に触れずに連絡してくる彼女のことを不審に思っていた。
本当は俺からも彼女本人に直接話を聞くべきなのだろうけど、すでに信頼できる状態ではなく、何より事実を知るのが怖かった。
――――――もし本当に浮気されていたのなら……。
そのまま連絡もおざなりになり、自然消滅となって今に至る。結局別れるのであれば聞いておけばよかったという後悔もあるが、知らないままであればこれ以上傷つくことはない。
よくある話ではあるが、実際に自分の身に起きてみれば簡単に人を信頼できなくなる。日常生活ならまだしも、恋愛となるとより一層。
だから俺はシオリとの関係に消極的なんだ。前の彼女みたいにすぐに捨てられる、あるいは遊ばれてるだけ、何か裏がある、考え出したらきりがない。前の彼女も俺にはもったいないくらいの美人だった。だから浮かれてたんだ。つり合いがとれてないということは乗り換える先がいくらでもある、ということに気づいてなかったんだ。
シオリに限らず、どんなに魅力的だと思った女の子に対しても、一線を引いていた。そうすれば疑うことも、不安になることもなく、何も考えずに楽しく接することが出来るんだ。
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