第6話 【作られた騒動の日】

-----------------【レイ】----------------

どうやら聞くところによると5年前サナは、リザ達が護衛してる馬車で移動しているときに人攫いにあったらしい。運よく逃げることには成功したが、森で迷っているとこで奴隷商人に捕まってしまい、商人によってとある家の使用人として売られたようだ。だが、そこでは4年間酷い扱いを受けていた様だ、そして耐えられなくなりスキを見て家を飛び出した。だが逃げ出したは良かったが、あてもなく飛び出したので、行くあてや帰るあてもなく森を彷徨っていたという、そしてその後また奴隷商人に捕まり、奴隷として管理されながら1年間檻の中で過ごし、そしてあの場で俺達と出会ったそうだ。

それからリザはサナを探すために、各地を転々として捜索していたらしい。

「で、サナはこれからどうするんだ?あれなんだろ?王族なんだろ?家に帰った方がいいんじゃないのか?」

「いや帰るのは危険だ」

どうやらリザさんいわく、人攫いの計画をしたのは王族の人間の可能性が高いそうだ、しかも自分の家庭内部の。

「次の跡継ぎはサナ様と言われていたから、サナ様のことを良く思っていない連中は多かったわ」

「へー、権力闘争ってやつか?大変なんだなー。でも帰らないならどうするんだ?今はレイの奴隷なんだろ?」

サナの胸元には奴隷印という奴隷の証というものがある、それがある限り一生誰かの奴隷って証明らしい。洗って落とすこと等はもちろんできない。

「そう、、私はレイさん、レイ様の奴隷だから、、ご主人様、ご命令を、、どうぞ」

サナは恐怖と哀しみが混じった声で俺に命令を要求した。

「そうか、、命令か、、、」

「ちょっとレイ!貴方、、」

「ちょっと黙ってくれ」

リザさんが何か言おうとしたがゼロが言葉を塞いでくれた。

「よし!決まった!命令する」

「はい、、」

最初から俺の願いは決まっている。

「自由に生きろ」

「え、、?」

そう言って俺は、奴隷契約書を破りそれをゼロに向かって投げた。そうするとゼロは『ファイアー』と言って火の魔法で跡形もなく紙を焼いた。そうすると、サナの胸元にあった奴隷印は消えていた。

「あちちっ!おい!もうちょっと良く狙えよ!」

「しょうがねぇだろ!紙が花吹雪みたいに散ってんだから!」

「どう、、して」

サナは不思議そうにこう答えこちらを見つめていた。

「何でって、、俺がそうしたかったからだよ?」

「だから、、どうして、、私、、高かったんでしょ?」

「まぁ、、あれだよ、、一目惚れってやつだよ、、」

「え、、」

正直なところ恋愛感情を持って、サナを奴隷商人から買ったのだ。

「レイお前、サナ様を奴隷にして何をさせるきだったのだ!」

「ちげーよ!ただなんとしても助けたいって思っただけだ!何が得とか、何が損とかどうでもいいんだ。でもしいて言うなら、この子の本当の笑顔を見て見たいって、思っただけだよ、ただそれだけだよ、、」

「レイ、、すまない、私は君の事を勘違いしt、、」

その時だった。

覆面を被った男が2人部屋に扉を壊して入ってきた。だが、俺とゼロは扉が壊れると同時に既に戦闘状態に入っており、覆面男を殴り飛ばした。

「リザさん!サナを連れて外に!」

俺が指示を出すとゼロは窓を破って、近くの家の屋根に飛び移りそれに続けて、サナを抱えたリザさんも飛び移った。俺も後を追うように部屋から脱出した。次の瞬間部屋にはさらに6名の覆面男が入ってきた。

「おいレイ!なんだあいつら」

「分からねぇよ!宿代取りに来た人ってわけじゃなさそうだな」

気が付くと屋根の上にも覆面男が数人いた。夜なので暗いが、月明かりのおかげでかなり見やすい。それにしてもここが人の多いメインストリートから離れている場所で良かった。

「その銀髪の少女を渡せ、そうすれば命だけは助けてやる」

覆面集団のリーダーのような人物が話しかけてきた。どうやら狙いはサナらしい。

「おいレイ、アイツいかにも悪役って感じのセリフ言ったな」

「まったくだよ、モブキャラかと思ったが、あのリーダーらしきやつは違うな、、強いぞ」

「レイ、ゼロどうするんだ、、サナ様は絶対に渡せないぞ」

正直このまま屋根の上で戦うわけにはいかない。いくら人が少ない場所と言っても少なからず人はいる、騒ぎになったり巻き込んでしまうことだけは避けたい。

「とりえず場所を変えよう、ここじゃ存分に戦えない。俺とゼロで道を開くからリザさんはサナを連れて何処か人がいない場所まで逃げてくれ」

「分かった、、サナ様、しっかり私に掴まっててください」

「いくそ!」

掛け声と同時に俺とゼロは俺達の後ろを包囲していた3人の覆面男に攻撃を仕掛けけ、そのスキにリザさんはサナを連れて移動を開始した。

後ろの覆面男3人を倒し逃げていたのだが、他の覆面男達や敵のリーダーは追ってはくるが攻撃を仕掛けてこなかった。どうやらあっちも人が居ない場所がお望みらしい。

しばらくして人の気配が全くない空き地に着いた。俺達が地面に着地した瞬間に覆面達は一斉に攻撃を仕掛けてきた。

覆面男達はリーダーの敵の含め全部で12人。まず最初に覆面の1人がナイフで切りかかってきた。それに対し俺はしゃがんで回避しそのまま顎にアッパーをした。1人片付けた瞬間リーダーらしき人物が手に付けたナックルのようなもので殴りかかってきた。どうやら俺の相手はコイツで、他の敵はすべてゼロとリゼ達に行っているようだ。

俺はギリギリのところで体を捻らせなんとか避けることに成功した。

「お前、子供くせにやるな、」

「それは、どうもっ!」

回避した後そのままの流れで、拳を振ったが腕をクロスしあっさりガードされてしまった。

「うぉ、、かてぇ、、」

殴った感覚的に、腕に鉄板のようなものを装備しているようだった。

そんなことを考えているうちにリーダーの男は一気に空いた距離詰めてきて拳を振ってきた。避けなきゃヤバかったが、いきなりの事でガードも回避も間に合わず、ものろ一撃くらってしまった。

「ぐっ!」

俺はそのまま壁の方に吹き飛ばされた。油断をしていたわけじゃない、格上だ。スピード、パワー、戦闘経験、なにもかもが上だとこの瞬間分かった。

「ったく、、まさか切り札をこんなに早く使うことになるなんてな、、」

「負け惜しみか?負け惜しみじゃないならさっさとかかってこい小僧」

「まぁ、そんなに焦らなくても見せてやるよ!」

そうして俺は立ち上がり、『アームズデバイス』を右腕につけた。

「なんだそれは、盾か、?」

「意外とあんたお喋りなんだな。まぁ見てろって」

そうして、俺は『赤いクリスタル』と『アーマード』をデバイスにいれた。

「いくぜ、、『アーマード ON』!」

俺がそういうと足のほうから俺の体全体を纏うように炎が出現し体全体を纏い終わると一気に炎が周りに散り消え、俺は鎧を身に纏っていた。【ラーズド・アーマー】それがこの鎧の名前だ。

「お前、、その鎧、、今どうやって出した?魔法なのか、、?」

リーダー格の男は困惑していた。

「さぁね、教える義理はないよっ!」

そうして俺は、男との距離を一気に詰め蹴りを放った。その蹴りは先ほどと同じようにガードされてしまったが俺の蹴りが命中した部分からは鉄が砕ける音がし男は後ろに吹き飛んだ。手応えありだ。

「くっ!早いし、、さっきより攻撃が数段重い!?」

「どーよ、俺の☆奥☆の☆手☆は、すげぇーだろ?」

アーマードを身に纏ったことで俺の身体能力は飛躍的に上がっていた。

「ただ、、鎧を、、身につけただけで、、この俺が、、、くそっ!クソがぁぁぁぁーーーー!!!」

男は怒りに任せて殴りかかってきた。

「死ねぇぇぇぇーー!」

「あんた、急にモブキャラっぽくなったな」

俺は、デバイスに入れた『赤いクリスタル』を一度取り出し、もう一度入れなおした。そうすると右腕から炎が燃え上がり、俺は炎を右腕に纏った。次の瞬間、俺の炎を纏った拳と男の拳がぶつかり合った。アーマードを着ていなければ俺の拳は男に砕かれていただろう。しかし俺の拳は相手の身につけていたナックル破壊した。

「なっ!!」

ナックルが砕けた瞬間、男はあり得ないという顔をしてそのまま一歩後ろに下がった。俺はそのスキを見逃さずもう一度距離を詰めて最後の一撃を相手のガラ空きになった腹部に放つと、男は白目をむいて気絶していた。そして俺はアーマードを解除し、解除すると【ラーズド・アーマー】は粒子状になって消えていった。

「ふぅ、、さて、ゼロ達はどうなったかな、、」

そう思い振向くと、覆面男達を全て縛り上げて身ぐるみもはがし終わっているようだった。

「ったく、、おせーぞレイ。こっちは身ぐるみ剥がしまで終わってるぞ」

敵を倒して縛り上げるまでは理解できたのだが、何故ゼロは身ぐるみまで剥がしているのだろう、、

「何で身ぐるみまで剥がしてるんだ?」

「え?そりゃぁ、、おかn、、、こいつらの正体を探るためだ」

一瞬お金って聞こえた気がするがまぁ大丈夫だろう。

「で?何でこいつらがサナを狙ってるのか分かったか?」

「いや全く。だが、ぶっ飛ばす時「雇われただけ」って言ってた気がする」

雇われた?ということは誰かがコイツらを雇ってサナを狙わせたってことか?

「レイ、、貴方、さっきのはなんなの?」

「ん?あー、アーマードのことか、あれは、、」

「こっちです!こっちで誰かが争ってるんです!」

その時、暴れすぎたのか近くの一般人に通報されたようだ。

「まずいわ、一旦何処か安全な場所に行きましょう。」

「分かった」

俺達は一般人に見つからないように移動した。


-----------------【ゼロ】----------------

今は夜の11時、今から宿を探すのは厳しいだろうということで俺達は城壁から町の外へ出てキャンプをすることにした。ちなみに、レイは宿に置いてきた荷物を取りに行った。

「すいませんサナ様、私の回復魔法である程度は治ったのですが、傷が深い物は消えませんでした、、」

「うんん、いいのよリザ、ありがとう、、」

サナの体の様々な場所には小さい傷や大きな傷が数多く見られた。おそらく奴隷として扱われていた時に付いた物だろう。

「なぁ、サナちょっといいか?」

「ひっ!」

俺が話しかけるとサナは怯えていた。

「ちょっとゼロ!サナ様を怖がらせないで!」

「ちょっと声をかけただけだよ!」

奴隷生活のせいかサナは人に対して恐怖心が残っているようだ。今はリザさんだけには心を許してるって感じか、、

「な、、なんでしょうか?」

本当は俺が怖いのだろうが勇気を出して返事をしてくれた。

「ちょっと手をかしてくれるか?俺なら傷をなんとかできるかもしれない」

「あ、、、」

俺がそういうと少しの間黙ったが、恐る恐る手を俺の方に差し出してくれた。俺はその手を優しく握り目を瞑り集中した。

「『リジェネ』」

俺がそう唱えるとサナの体には緑の光が集まり、体中にあった傷が消え綺麗な肌に戻っていた。

「よし、これで終わりっと。傷の感じはどうだ?」

「え、、凄い、、リザ見て!消えてるわ!」

「どういうこと、、?」

サナはとても喜んでいたが、リザさんは ありえない という顔をしていた。

「ゼ、、ゼロさん、、ありがとう、、ございます」

「あぁ敬語とか、さん付けなんていいよ俺もアイツも別に、そういうの俺達苦手だから」

「ちょっとゼロ貴方何をしたの!?」

「え?回復魔法を使ったんだよ?」

どうやら普通の回復魔法では、サナの体に残っていた傷は消えないそうだ。元々回復魔法というのは人間の自己治癒能力を飛躍的に上げるだけであって、例えば傷を治すことは出来ても消すことはできないらしい。

「へー、まぁ傷が残らずに済むんだからいいじゃん」

「まぁ、、そうね。ありがとう」

そんなことをしているうちにレイが全員の荷物を抱えて帰ってきた。

「ただいまー」




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