第7話 【他夢が存在した日】

-----------------【ゼロ】----------------

俺達は焚火を焚き、テントを建てひと段落着いたところでリザさんとサナにアーマードのこと、俺達のことを話した。

「凄いわね、、そのアーマード?っていうの」

「だろ?何よりカッコいいし!それにアーマードにはまだまだ隠しk、、」

レイはアーマードのことを熱く語っていたのだが、話が進まないので無視して話を進めることにした。

「それより二人はこれからどうするんだ?」

「これからか、、」

リザさんは言葉を詰まらせていた。

「私はサナ様に付いていく。でも、サナ様は、、、」

「私は、、」

そりゃぁ迷うだろうな。自分を攫うように計画したのは自分の家の人間の可能性が高いから家に戻るのは危険だろうしな。

「私は、、私は、、どうしたら、、」

「え?自由に生きればいいんじゃないの?自分が一番やりたいって思うことを」

そう言い放ったのはレイだった。

「レイ、言い方は悪いかもしれないけど、貴方やゼロとは違ってサナ様は王族よ。色々と自由が効かないのよ、、」

「え?なんで?サナは自分の思うように生きれないんだ?」

「だから、サナ様は王族で、、」

「いやいや、サナはサナだろ?それにサナの人生はサナの人生だろ?王族って立場がどれだけの物かは知らないけど、それはサナが望んだのか?誰かが決めた人生なんて面白くない。」

リザは言葉に詰まっていた。このまま王族として決まった人生を送っていくことがサナの本当の幸せに繋がるのか。

「自由、、私は、、」

「なぁサナ。俺達と一緒に来ないか?この世界にはまだまだ俺達の知らない幸せや面白い物がいっぱいあるんだ!一緒にそれを見に行こうぜ!」

「それが、、私の、幸せに、、、なるかな?」

「それが本当の幸せになるかは分からないけど、約束するよ!俺が、、俺達がサナを絶対に幸せにしてみせるよ!」

レイは約束だ。と言ってサナに小指を差し出した。その瞬間サナの顔は赤くなり、リザはとても驚いていた。コイツ、今言った言葉のいみ分かってるのか?

「おいレイ、俺も本での知識でしかないが、女性に小指を差し出して「幸せに」するって言う意味わかってるのか?」

「え?指切りげんまんしてるだけだけど?」

コイツやっぱり分かって無かったか。この世界では、男性が女性に小指を差し出し「幸せにする」と言う行為は、いわゆる求婚に当たる行為だ。リザさんはこっそりとレイに耳打ちし教えた。自分が言ったことの意味を理解したのかレイの顔は赤くなった。

「え?あっ、ちっ違う!そういう意味じゃなくて!いや、幸せにするってことは本当で、、いや、あの、、」

サナは少し赤くなりながらも、レイの小指を握った。

「・・あの、、よろしく、、お願い、します」

「おう!、、ま、まかせろ!必ず幸せにしてやる!」

そう言ってしばらくすると、そこで恥ずかしさが限界に達したのかサナとレイは直ぐに手を放し目を逸らしていた。サナは少し前まで目を合わせるだけで怖がっていたのに、もうここまで心を開いたのか、、それにしてもこの二人、、見てておもしろいな、、、

その後、リザとサナはテントの中で眠りにつき俺とレイは交代で周囲の警戒をしつつ体を休めた。


-------------------------------------

次の日の朝、リザは外からの物音で目を覚ました。隣で寝ているサナを起こさぬように起き上がり、テントから出て外を見て見るとパンツ一丁のレイとゼロが居た。

「え、、?・・・まだ夢の中かしら、、」

「「じゃーん けーんっ!ポンっ! あいこで、、」」

「あんた達朝から何やってるのよ!」

リザは自分の靴を思い切り二人の顔面に投げて野球拳をやめさせ服を着させた。どうやら早く起きて暇だったので1時間前から野球拳をしていた様だ。

その後サナも起きてきたので、レイ達は食事を済ませテントや荷物の片づけを済ましてから、再び正門から町の中に入りサナの服を調達するために女性専用の服屋に入った。

「え?あんた達は外よ?1時間くらいしたら終わるからね。じゃっ大人しく待ってるのよ」

「「え?」」

レイ達はさらっと女性専用の服屋の中に入ろうとしたので、リザはレイ達を外に追い出し店のドアを閉めた。レイ達は入り口の横で体操座りで座って待っていた。3時間ほどするとリザ達は店から出てきた。

「やっと出てきたか、もう3時間もたって、、」

レイは店から出てきたサナを見て固まっていた。

「どう?可愛いでしょう!?あ、ちなみに遅れたのはシャワーを借りたり化粧をしてたからよ」

「え?服とシャワーと化粧だけで3時間も掛ったの?」

「女はね身だしなみを整えるのに時間がかかるのよ」

ゼロとリザが話している中でもレイは一言も発さずサナを見つめていた。

「あの、、えっと、、そんなに見つめられると、、」

ずっと見られていて恥ずかしかったのか少し顔を赤くしてリザの後ろに隠れた。

「おーい、そろそろ戻ってこーい」

そう言いゼロがレイの頭を叩くと「はっ!完全に見惚れてた。」と言い正気に戻った。そしてゼロは少し気になっていたことを聞いた。

「そういえば、もう人は怖くないのか?」

サナは5年間の奴隷生活で人に恐怖を覚えリザ以外の人には怯えていたが、見たところレイとゼロとは既に普通に怖がらず会話ができているようだった。

「まだ、他の人たちはちょっと怖いけど、、二人は、、大丈夫、、」

「そっか、なら良かった。頑張れよ」

「さて貴方達、次はとうとう貴方達がずっと楽しみにしていたことよ」

その言葉を聞いた瞬間、レイとゼロは目を輝かせていた。

「「冒険者登録!!」」

そう言って、レイ達は冒険者登録をするためにこの町のギルドへと歩き始めた。


服屋から数分歩くと冒険者ギルドに着いた。冒険者ギルドの入り口の装飾には何か大きな生物の骸骨や見たことない色の鉱石や、様々な植物等が装飾に使われていた。

「ここが冒険者ギルド、、、」

「やっぱり本とは迫力が違うな、、、」

レイとゼロは期待に胸を膨らませながら、ギルドの大きな扉を開けて中に入った。

「「「「オロロロロロロロロロロ、、、気持わりぃ、、」」」」

「ムニャムニャ、、もう飲めないわ、、、」

「おねえちゃーーん!お酒追加ねーー」

まだ昼間だというのにギルドの中には既に酔いつぶれた冒険者が男女限らず多く見られた。周りをよく見ると、ババ抜きをしていたり腹おどりをしている冒険者も見られた。レイ達は変に絡まれないようにギルドの受付らしき場所へ向かった。

ギルドの受付に着くと、受付嬢らしき人物が鼻水と涙を大量に流しながら机で泣いていた。

「うっうぅ、、私の何が不満だって言うのよ、、私だって頑張ってるんだからぁあぁーー!」

「あ、あの、、」

「うっ、、うぅぅ、、、」

レイが声を掛けても泣いているばかりで会話ができなかった。その時、隣のカウンターから声が聞こえてきた。

「あ!すいません!こちらへどうぞ」

そこには茶髪の受付嬢が居た。

「あ、あの、、あっちの人とか、酔ってる人とか、、大丈夫なんですか?」

「あぁ、”あれ”ですか。”あれ”はいつものことなので大丈夫ですよ。」

「え、いつものことなんですか、、」

「はい、そうですよ。ところで本日はどうなさされましたか?」

受付嬢の人は顔色一つ変えずに対応していたことからこのギルドがこうなのは、いつもとことらしい。

「あの、俺とコイツとこの子冒険者登録をしたいんですが、、」

「あぁ、冒険者登録ですか。ではこちらの紙に必要事項を書いてください。」

そう言うと受付嬢はレイとゼロとサナに紙を渡した。書類の記入は1分程度で終わった。

「はいっ!書類はこれで大丈夫です。では試験の準備が出来たらお呼びいたしますので、お好きなで待っていてください」

受付嬢は書類を持って奥へ部屋へ行った。

「サナ様、私は試験についていけません。大丈夫ですか?」

ギルドに入った時から、サナは怯えていた。それもそうだろう、普通の人でさえまだ恐怖心が残っているのにこんな変人が大勢いる場所では怯えるのも無理はない。

だが、サナは何かを決めたようだった。

「心配しないで、、私だって、、やればできるんだから、」

「サナ様、、けっして無理はしないように」

その時、奥から受付嬢の人が出てきた。

「レイさん、ゼロさん、サナさん、今から試験場に行くのでついてきてくださいね」

「よしっ!行くか!」

そして三人は歩き出した。


-----------------【レイ】----------------

しばらく歩くと俺達三人は試験会場へと着いた。そこは、大きな球戯場の様な場所だった。そこで受付の人からの説明を聞いた。

彼女の名前は「ノエル」というらしい。そして他の係の人が水晶玉のようなものを持ってきたのだが、これは触れた人間の身体能力値や適性属性、魔力量などを可視化することができる装置らしい。

「では、まずステータスを測定するので1人づつ水晶に触れてください。ゼロさんどうぞ」

どうやら最初はゼロらしい。ゼロが水晶に触れると水晶は水色に輝き空中に文字が出てき始めた。


【ゼロ】

魔力量:2600

魔力力:3

筋 力:68

瞬発力:70

精霊力:120

魔耐性:10

運 気:20


属 性:水、風


ゼロのステータスを見て、ノエルさんは驚いていた。

「魔力量も多いですが何より、精霊力があることに驚きです、、しかも120も、、」

「それって良い感じなんですか?」

「えぇ、大体の人は精霊力の数値が0で表示されないです。稀に精霊力が表示される人が居ますが居ても、10~20が基本です。ゼロさんは魔力量と筋力、瞬発力なんかも素晴らしいですね。」

そう聞いた瞬間、ゼロがこちらを見てきてドヤ顔をしてきた。ちょっとウザい。

しばらくすると水晶の光が消えゼロのステータスが消えた。ちなみに数値が0のステータスは表示されないらしい。

「はい、では次にレイさんどうぞ」

そうして俺が水晶に触れると、赤色に輝き出した。


【レイ】

魔力量:700

魔力力:5

筋 力:90

瞬発力:97

魔耐性:80


属 性:火

ゼロほどではないがノエルさんは少し驚いていた。

「魔力量、魔力力は平均ですが、、筋力、瞬発力、そしてなにより魔耐性が異常なくらい高いですね。ゼロさんもそうでしたが、お二人ともかなり鍛えてますね。」

俺はゼロの方を向き、「お前まだまだ鍛え足りないんじゃないか?」と口パクで言いながら煽った。

「はい、では最後にサナさんどうぞ」

サナが水晶に触れると虹色に輝き出した。


【サナ】

魔力量:26000

魔力力:20

筋 力:20

瞬発力:8

神聖力:240

呪耐性:200

魔耐性:200

運 気:10


属 性:火、水、風、土、雷、聖


サナのステータスを見た瞬間俺とゼロ、ノエルさんは口を開けて驚いていた。

いや、ステータス高すぎね?

「す、すすすすすす凄すぎます!まず魔力量が異常です!普通の人の魔力量は大体500程度です!そしてなにより、神聖力があること自体が凄いのに呪耐性と魔耐性の3つが200超えなのも凄いです!こんな人滅多に居ないですよ!」

「あ、あの、、」

急にべた褒めされたせいなのか、褒められること自体が久しぶりなのか、サナは顔が真っ赤になり顔を隠していた。

「では、今から実技試験を始めます。模擬戦を選んだお二人は、あちらでお好みの武器を1つ選んで横の広場でお待ちください。サナさんの「実演」は私が担当しますので、そのままお待ちください」

実技試験の方法は2種類あり。

1つ目の方法が「実演」と言われる自分の一番得意な物を見せるらしい。魔法、剣術、身体能力、何でも良いから自分の力を証明できれば良いそうだ。

そして2つ目が「模擬戦」と呼ばれる、教官と呼ばれる人と戦い、自分の力を証明する試験方法らしい。こちらの方はあまり人気が無いらしい。

これは最初の書類記入の際に自分がどちらで試験をしたいか選べた。俺とゼロは「模擬戦」サナは「自演」を選んだ。

俺とゼロは武器が置いてある場所に行き自分が好きな武器を選んだ。







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