第4話 【似た物を追った日】
-----------------【レイ】----------------
師匠のメッセージを聞いて「旅に出ようと」ゼロと約束をして2か月の月日が流れていた。その間ゼロは腕の治療に専念し無事に完治していた。そして俺は師匠からの送り物「アーマード」の解析と改造を行いつつ旅の準備もしていた。旅に出るにも体一つで出るわけにもいかないので、食料、衣類等の必需品を準備していたときに書庫に隠し部屋を見つけた。そこには冒険者のような衣類とナイフ、カバン、などと俺達が揃えようとしていた物が食料以外全て揃っていた。そして一番驚いたのが金貨200枚だ。金貨1枚あれば一か月裕福な生活が送れると考えてくれると助かる。そんな感じで俺達は旅の準備を終え今玄関に立っている。
「2か月なんてあっという間だったな、、この家ともお別れか、、」
ゼロは少し寂しそうに答えた。
「別にもう一生帰ってこないわけじゃないんだから、旅が終わればきっともどってくるさ」
「そうだよな、、さっ、旅の始まりはノリ良く行こうぜ!」
そうして俺達は玄関を出た。
「「行ってきます」」
「あ、火の元栓閉めたっけ?ちょっと確認してくるわ」
鍵をきちんと閉めたか不安だったので俺は確認しに家に戻った。
ただいまマーホーム5秒ぶりだね。
-----------------【ゼロ】----------------
レイいわく、冒険者登録が可能な場所は限られているらしい。冒険者登録が可能な場所は、『王都』とこの大陸に存在する7つ都市のでしかできないらしい。今俺達は、食料調達のために近くの『ペルガ村』という場所に向かっている。
「なぁ一般人で徒歩2日なら、俺達が走れば数時間で都市に着くんじゃないのか?」
自分たちで言うのは何だが、俺達は小さい頃から人間離れした師匠から毎日特訓という名の拷問を受けていたせいで体力も身体能力も人一倍ある。
「分かってないなぁ~旅っていうのは、のんびり行くもんなんだよ」
レイが自信満々に答えていた。
「ふーん、まぁこんな経験は初めてだから結構新鮮で楽しけどな」
「それな~」
俺もレイも良く歩く道だが今日はいつもの道とは違って見える。
そんな馴染の風景を楽しんでいると、とうとう『ペルガ村』に着いた。
「おー!ここが旅初めての村!」
「よく来る村だけどな」
まぁでも言われてみれば、ここが旅で最初に訪れた村になるわけか、レイ程ではないが俺も正直興奮している。
「よしっ!じゃぁ食料調達とかするか!」
「おー!」
とりあえず5日分の日持ちする食料を買うことにした。
買い物をしつつ都市への行き方を聞いたりしていると衝撃的なことが判明した。
「ここから近くの『ナガラルト』都市までは歩きだと1ヵ月かかるわよ」
「「!?!?!?!?!?!?」」
おかしいレイは確か「ここから2日ぐらいの場所にあるよ!」みたいなことを言っていたのに。どうやら聞くとこによると地図上で見れば2~4日程で行ける距離らしい。地図上では。ここらへんは山脈や谷などが多くあるので、真っすぐ突っきって行けないらしい。
「この村の近くに『ルークド村』ってところから都市行きの馬車が出てるからそれを使えば半日ほどで都市につけるわよ」
「「ありがとう!親切なおばさん!」」
「私はまだ20歳だよ!!」
何故か怒られた。
そして俺達は都市への馬車が出ている『ルークド村』へ歩き始めた。はずだった、、、
-----------------【レイ】----------------
おかしい、、案内通り村を出てすぐの道を右に曲がって道なりに進んでいたはずなのに、、何故俺達は7日も森の中にいるんだ?
「そりゃぁお前、あれだろ、俺達がいた森には居なかった珍しい動物や植物、新しい地形とかに興奮してあっちこっち、行ってたからだろ」
そう、ゼロの言う通り俺達はたくさんの新しい物に囲まれ興奮が抑えられず、あっちこっち移動していたのだ。そうして気が付くと来た道が分からなくなっていた。
「あ~腹減ったぁ、、」
食料は既に2日前に尽きている。そこから飲まず食わずで永遠と森を彷徨っている。
「あー、俺達このまま餓死するのかな~?え~このまま餓死して死んだらこの小説どうなるんだよ~なんだ?別の主人公出てくるんですかぁ~?あぁん!?」
ゼロは空腹でとうとう頭がイカレてしまったらしい。言ってはいけないメタ発言までしてしまっている。
その時、少し遠くの方から爆発音が聞こえた。
「!?おい!ゼロ今の爆発音聞こえたか?人がいるかもしれないぞ!」
「あんなこっといいな♪出来たらいいな♪みんな♪みんな♪なーんな♪かっなえてく~れる♪ふっしぎな ぽっ」
俺はゼロの頭を殴った。
「はっ!俺は一体何を?そしてさっきの爆発音は一体、、」
ようやく正常に戻ったようだ。
「ほらさっさと行くぞ!もしかしたら食料を分けて貰えるかもしれない」
「何!?食料!?行くぞ!」
そうして俺とゼロは爆発音がした方向へ1分ほど森の中を走ると、馬車と大勢の人たちが争っていた。
「なぁこれ、食料分けて貰える雰囲気じゃなくね?」
「う~ん、、これは、、」
ガラの悪い大人達が倒れた馬車を襲い、護衛とおぼしき人達が馬車を守っているようだった。しかし、立っている馬車の護衛は金髪の女の騎士の人1人。それ以外はどうやらやられているようだ。
「いくらガラが悪くても見た目で判断しちゃいけないからな、、これホントどういう状況なんだろう?」
正直馬車を襲ってる方が悪い奴らなんだろうけど、状況が分からないと動きたくても動けない。
「なぁレイ、あれって山賊ってやつじゃね?山賊って人から物奪う奴らだろ?あいつらからなら食料奪っても問題ないんじゃね?」
「それで、山賊とかじゃなかったらどうするんだ?まぁ山賊ならぶっ飛ばしても問題ないとおも、、」
そんなことゼロと話しているととある言葉が聞こえてきた。
「この山賊共め!正々堂々と戦え!」
「俺達は山賊だぜ?誰が正々堂々と戦うかよ!」
その瞬間俺とゼロは茂みから飛び出した。
「「食料寄越せやぁぁぁぁぁぁ!!!!!」」
人数は9人、まず一番近くにいた弓を構えていた男2人を殴り飛ばした。
「なっ!なんだこのガキ共は!」
男達は驚いていたので、俺とゼロはその間に山賊が4人固まっていた場所に突撃し、1秒ほどで4人全員の腹部に打撃を打ち込んだ。山賊は残り
「「ヒャッハー!!山賊ども!てめぇらの血は何色だぁぁぁ???」」
旅初めての戦闘でかなり興奮していた。
「ボスッ!コイツら強いしやべぇやつらだ!」
既に俺達は次の行動に移っていた。頭らしき山賊の両脇にいた山賊にゼロは左の山賊に、俺は右の山賊の顔面に蹴りを叩き込んでいた。
「「食料をよ~こ~せぇ!!!!」」
「なっなんなんだお前ら、、お前らも山賊か!?くっ来るな!来るなぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」
山賊のボスは、持っていた大剣を縦に振り下ろした。ゼロは左へ避け俺は大剣を両手のひらを合わせるようにして挟んで受け止めた。いわゆる真剣白刃取ってやつだ。
「なっ!止めやがった!」
山賊の大剣を止めた瞬間狙いを定めたゼロが拳を放った。
「距離、角度良し!くらえぇ!必殺!『漢潰し(股間潰し)』!チェストォォォォォォ!!!!」
そう、敵の股間めがけて全力で拳を放っていた。
「アガッあ、、アァァ、、アッ↑」
山賊は案の定、泡を吹き白目で倒れた。
「ふぅ、、ミッションコンプリート」
恐ろしく早い股間潰しっ!俺じゃなきゃ見逃してるね。
倒した山賊のカバンなどを漁ると、干し肉などの保存食と飲み物を入手した。
「いやー、レイさん大量っすね!」
「フッフッフ、人から食料を奪うなんてゼロ殿も悪よのぉ~」
俺達は2日ぶりに食料と水にありつけて、襲われていた馬車のことを完全に忘れて飲み食いをしていた。その時後ろから気配を感じたので、振り返ると俺達に向かって金髪の女騎士が剣を振っていた。
「「あぶねぇっ!!」」
俺とゼロは体を捻らせてギリギリのところで躱していた。
「貴方達も山賊なんでしょう!それなら、、やられる前にやってやるわ!」
どうやら金髪の女騎士は、俺達を山賊かなんかと勘違いしているようだった。
「ちょ、ちょっと待ってくれ!俺達は旅人だ!」
「そんなわけがあるか!普通旅人が山賊を襲って食料や金品を強奪するわけがないだろ!」
ゼロが誤解を解こうとするが、女騎士は聞く耳を持たなかった。まぁそりゃそうか、目の前で人が襲われたら次は自分の番だと思うし、なにより腹が減ってたとはいえ「食料!食料!」などと奇声を発しながら暴れれば山賊と疑われてもしょうがないか。
「ちょっと待ってください、俺達本当に旅人なんです。食料が尽きて森を彷徨ってしにそうだった時、爆発音が聞こえてその方向に行ったら食料達が戦ってt、、あ、違う違う、貴方達が戦ってて、、」
「え?今貴方私たちのことを食料って言ったわよね?絶対言ったわよね!?やっぱり山賊じゃないの!」
「うぉっ!だからあぶねぇって!」
おかしい、きちんと説明したのにまだ誤解をしてる。
「おいレイ、お前これで誤解が増えたぞ」
「おかしい俺の事情説明は完璧だったはずだが、、」
そんな考えをしているうちにまた斬りかかろうとしてきた、その時馬車の方から1つの声が聞こえてきた。
「あれ?君たちはレイ君とゼロ君じゃないかね?」
その言葉を聞いた瞬間女騎士は剣を止めた。
「お知り合いなんですか?」
「ちょっと少し昔まで行ってた取引先の人のお弟子さんだよ、いや~久しぶりだな~」
正直俺達は「誰だろうこの人」と思っていたが、よく見て見ると師匠がいなくなる前にたまに家に来ていた商人の人ということを思い出した。
「「あ!たまに家に来てた商人の人だ!」」
「お~覚えててくれたのか。それにしても大きくなったな」
まさかこんな場所で数少ない知り合いに会えるとは思っていなかった。いままで家でも「商人の人」と呼んでいたが、どうやらこの人の名前はランダと言うらしい。それはそうだ、商人の人 が名前なわけがないからな。
「でお前達ここで何をしてるんだ?家はかなり遠くのはずだろう?」
ランダさんに何故ここにいるのかと尋ねられたので今までの経緯を説明した。
「つまり旅に出たのはいいが、迷子になって食料も尽きて森で彷徨っていたところにこの騒動にたまたま出会ったわけか」
「最初は様子をみてたんだけど、相手が山賊ってわかったから、山賊からなら襲っても問題ないかな~って思って」
「情けない話、俺は戦えないからな隠れて見ていることしかできなかったが、、、お前たちが山賊を倒してくれて助かったぞ。ほらっこれやるよ」
ランダさんはそう言って俺達にチョコレートくれた。
「え?てことは本当に山賊とか盗賊じゃないってこと?」
「だからそういってるじゃん」
どうやらランダさんのおかげで誤解は解けたようだった。
「ごめんなさい、完璧に言動と行動が山賊とかに見えて、、」
正直あの時は食料と戦いが楽しくて興奮していてかなり暴れてしまったから何も言い返せない。あれじゃぁ、誰が見てもどっちが山賊か分からないと思う。
その後俺達は、倒された他の護衛の人たちの応急処置をして、ランダさん達と話し合った結果、目的地の『ナガラルト都市』まで連れて行ってくれることになった。そして女の騎士の人は『リザ』という名前らしい。
「リザさんは冒険者なのか?」
「えぇそうよ、今回は護衛としてランダさんに雇われたの」
ゼロも俺も冒険者については本での情報しかしらないので初めて冒険者に出会えた冒険者に興味津々だ。特にゼロが。
「へー、そんな動物や場所もあるんだな!他には何があるんだ?」
「ほかにはねー」
話を聞いているうちに分かったことがある。まず、冒険者になるためにはギルドで受けられる試験に合格しなければならないこと。そしてリザさんは各地を転々としてある人物をもう4年も探しているらしい。
「じゃぁリザさんは『ナガラルト』は初めてってことですか?」
「えぇ、これで6つ目の都市よ。初めての都市だからあまり詳しく案内はできないけど、ギルドとかはどこもある程度共通だから簡単な案内はしてあげれるわ。」
正直分からないことが多くて、やっていけそうか分からなかったが、リザさんのおかげで何とかやっていけそうだ。
「おーいお前達、もうじき『ナガラルト』につくぞー」
少しすると壁に囲まれた大きな町が見えてきた。
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