第3話 【満月に夢を願う日】

-----------------【ゼロ】----------------

砂煙が晴れると、鎧を身にまとった人が倒れていた。

「うわっ!誰だコイツ、、もしかして、、レイ?」

「そう、、だ、」

鎧を身にまとった人物はレイだった。さっきまで鎧なんか持って無かったのにどこから持ってきたんだろうか、、

「もしかして、これがお前の言ってた変身か?」

「そう、、これが、、ロマン、、だ、、凄い、、だろ」

「いや変身というか、あやうく『変死』するところだったぞお前」

変身道具というより自爆道具の方があってる気がする。

「すまんが、、ヒール、、かけ、、てくれ」

「俺全治1週間の怪我人なんだが、、まぁしゃーないか、『ヒール』」

そう言って俺は回復魔法の『ヒール』を使った。


「どうだ!これが変身だ!かっこいいだろぅおぉ~?」

「いやお前死にかけだったじゃん!あれじゃぁ自爆装置だよ!しかも鎧が出てくるだけかよ!いやそれも凄いけどね?」

身を守るために自爆して鎧を身につけるなんて本末転倒だ。

「いやいや、鎧を着るだけじゃないぞ?」

「へー、じゃぁ鎧を出せる以外で何が出来るのさ」

俺はレイに呆れたような感じ言ったのだがまさかの答えが返ってきた。

「まぁ簡単に言うと、この鎧を着ると身体能力が2.5倍ほど上がる」

 !?

「え?ただの鎧じゃないの?」

「なんと、ただの鎧じゃないんだよな~ゼロ軽く殴るから俺の攻撃を止めてみて」

そう言った瞬間、拳で攻撃をしてきたので両手をクロスさせ、レイの攻撃を受け止めた。その時

ゴキッ ベキッ

「あ、すまん力入れすぎた」

腕から聞いたことも無いような音が聞こえた。そして次の瞬間とてつもない痛みが俺を襲った。

「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」


その日の晩

「あ、あの、、ゼロ君?今日はお前の好きなカレーを作ったんだ、、食べる?」

俺は包帯でグルグル巻きになって動かない腕を見て言った。

「カレーって飲み物だっけ?」


-----------------【レイ】----------------

その日の夜は満月だった。

「なぁゼロ、起きてるか?」

疲れているはずなのに今日はなかなか眠れなかった。

「ん?なんだよ」

「実は『アームデバイス』を調べているときにメッセージを見つけたんだ」

そう、寝る前にデバイスを調べていたらメッセージファイルを見つけた。

「なんて書いてたんだ?」

「それがな、内容を見るに師匠が急に消えたのは理由があったぽくて、、」

説明をしていたがゼロが早く教えろとしつこかったので、説明を省いてメッセージを再生した。

『これを読むころには俺はもうこの世には居ないだろう、、

なーんて!うっそぴょん!

まぁ、そろそろお前たちも親離れしろってことだ。

あと俺にはやらなければならないことがある。そしてお前たちに教えることはもうない、あとお前たちに必要な物は経験だ。お前たちは世界の広さを知らない、お前達は冒険に出て、その目で世界を見て、その体で世界を知り強くなれ。そうすれば、いつか俺を超えれるかもなw

もう使ったと思うが、あれは俺からの誕生日プレゼントだ。

あれはただの『力』だ。その『力』に意味を持たせるのはお前達しだいだ。

後は任せたぞ弟子たちよ』

メッセージはこれで終わり。

「世界を見ろ、、か、確かに俺達世間のこと知らなさすぎるもんな、、」

そう、俺達は師匠に拾われる前も村から出たことが無く、師匠に拾われた後も何処かに行ったことがあるとしても、近くの人口30人くらいの小さな村。

「なぁゼロ良い機会だし、冒険者になるってのはどうだ?」

「冒険者ってあの、名前の通りで冒険する人たちだろ?冒険すればなれるのか?」

この様子はあまり冒険者について知らなそうだった。

「冒険者ってのは、ギルドっていう施設で冒険者になって、いろんな人からの依頼を受けて生きている人達のことだよ」

「あー、シッテル シッテル あれだろ?ギルドで登録すればいいんだろ?」

とんでもない程の棒読みだったので本当に知らなかったようだ。

「で、そのギルドってのは何処にあるんだ?」

「地図で見たら徒歩2日くらいの場所にあるらしい。」

「じゃぁ最初の目標は冒険者になることだな!誰かさんのせいで壊れた腕をさっさと直して冒険に出たいわー」

今すぐにでも冒険に出たいが俺がゼロの腕を骨折させてしまったので、すぐには行けない。

「あー、なんのことだか。」

「冒険をしていればまた師匠に会えるかな、?」

ゼロは少し寂しそうに言っていた。

「安心しろって多分会えるだろ、長話しす過ぎたな、もう寝るぞ。」

そうして俺達は色々な考えを巡らせながら目を閉じた。






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