最後は笑顔で 1

「そりゃー江奈っちが迂闊だったわね」


ハナちゃんがお腹を抱え、ケラケラと笑う。


「だぁって、雪ちゃん、しつっこいんだもん!」


「そんなの分かっていた事じゃない」


「そうなんだけどさぁ……」


私はなんとなく納得が行かず、ボールの中のサラダをガッシガッシと混ぜ合わせた。


今日は久々に、『ハナちゃん先生の料理教室』を開催中。


ハナちゃんはお店をやっているだけあって、料理がとても上手。


なので、たまに教えてもらっている。


「そう言えば、江奈っちはずっと雪ちゃんのマンションに住んでるの?」


使い終わった器具を洗いながらハナちゃんが聞いて来た。


「うん、そう。色々解決したから自分のアパートに帰ろうと荷物まとめてたら、雪ちゃんが見事に拗ねちゃって……」


ハハハ、と溜め息混じりに笑う。


「いーじゃない。どうせ結婚したらあそこに住むんでしょ?」


「え、うーん……」


そう、なのかな?


「あれ?違うの?だってこの間、ご両親に挨拶して来たって言ってたじゃない?」


「あ、それはそうなんだけど……」


「じゃあ良いじゃない?」


そうなんだけど、なんとなくケジメとして、さ……。


ハナちゃんが、そろそろ出来上がりそうな料理たちを盛り付けるお皿をテーブルにセッティングする。


「雪ちゃんのご両親、喜んでたでしょー?」


「あ、うん……」


そう。めちゃくちゃ喜んでた。


それと同時に、めちゃくちゃビックリされたけど。


まさか結婚相手…しかも女の私を連れて来るとは思ってもみなかったらしく、お母様は涙ぐんでいらした。


そうそう!以前、お兄さんがいるって事は聞いていたんだけど、雪ちゃんには妹さんもいて、それがメチャメチャ美人で!


しかも同い年ですぐに仲良くなった。


今度、ご飯を食べに行く約束をしている。


お父様はとても穏やかな方だった。


「良かったわね。結婚式には呼んでね」


「ありがとう。うん。絶対!」


二人で笑い合う。

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